2005年頃から、固定電話と携帯電話の融合(FMC)や通信と放送の融合など、情報通
信サービスの融合が具体的に始まりました。また、サービス融合とは若干違うニュア
ンスで、ユニファイド・コミュニケーション(UC)という言葉が使われています。こ
うしたことが具体化してきた背景には、光ファイバー通信技術、無線通信技術、デー
タ処理技術、小型端末機器の製造技術、セキュリティ技術などが、同時に進んでいる
ことがあります。
しかし、情報通信サービスの融合あるいは統合は始まったばかりであり、理想的な
姿も、それを実現するために解決すべき課題もまだ明確になっていません。情報通信
サービス設計の基本の一つであり、サービス統合のために改めて見直す必要がある課
題にユーザー識別方法があります。たとえば、既存の電話番号や電子メールアドレ
ス、情報源の識別名(URLあるいはURI)などをどのように扱うかということです。
電話番号については、ナンバー・ポータビリティ、SIMカード、ENUM(電話番号と
IPアドレスを対応づける方法)などの技術が実用化されていますが、適用できる範囲
は限定的です。情報通信サービスのユーザー識別対象は、ユーザー個人、ユーザーが
使っている端末、サービス利用契約者など、いろいろな考え方があります。特定の
サービス事業者あるいは国内のサービスに限らず、グローバルなサービス融合を考え
ると、汎用的なユーザー識別方法をどうするのかということは重要な問題ですが、ど
のようになるのかまだ見えていません。
都丸敬介(2009.4.20)