なんでもマルチメディア(596):情報通信サービスの融合とユーザー識別

2005年頃から、固定電話と携帯電話の融合(FMC)や通信と放送の融合など、情報通

信サービスの融合が具体的に始まりました。また、サービス融合とは若干違うニュア

ンスで、ユニファイド・コミュニケーション(UC)という言葉が使われています。こ

うしたことが具体化してきた背景には、光ファイバー通信技術、無線通信技術、デー

タ処理技術、小型端末機器の製造技術、セキュリティ技術などが、同時に進んでいる

ことがあります。

 しかし、情報通信サービスの融合あるいは統合は始まったばかりであり、理想的な

姿も、それを実現するために解決すべき課題もまだ明確になっていません。情報通信

サービス設計の基本の一つであり、サービス統合のために改めて見直す必要がある課

題にユーザー識別方法があります。たとえば、既存の電話番号や電子メールアドレ

ス、情報源の識別名(URLあるいはURI)などをどのように扱うかということです。

 電話番号については、ナンバー・ポータビリティ、SIMカード、ENUM(電話番号と

IPアドレスを対応づける方法)などの技術が実用化されていますが、適用できる範囲

は限定的です。情報通信サービスのユーザー識別対象は、ユーザー個人、ユーザーが

使っている端末、サービス利用契約者など、いろいろな考え方があります。特定の

サービス事業者あるいは国内のサービスに限らず、グローバルなサービス融合を考え

ると、汎用的なユーザー識別方法をどうするのかということは重要な問題ですが、ど

のようになるのかまだ見えていません。

都丸敬介(2009.4.20)

なんでもマルチメディア(595):スイスの高山植物園


alpsflw1.jpg 

20016月、スイスの山岳観光の中心地のひとつインターラーケン郊外にあるブリ

エンツ湖畔のホテルに数日滞在して、天候を見ながら行き先を決める、気ままなハイ

キングを楽しみました。

 

 好天気に恵まれて、雲ひとつないユングフラウやアイガーといった名山を楽しんだ

後のある日、朝起きると強い雨が降っていました。けれども8時ごろには雨が弱くな

り、ときどき薄日が差すようになりました。そこで、鉄道、ケーブルカー、ロープウ

エイを乗り継いでシルトホルン(2,971m)の山頂に行きました。


alpsflw2.jpg 

 ここは1969年に作られた映画「女王陛下の007」のロケ地であり、訪ねてみた

かった場所です。大きな展望台の売店には007グッズのコーナーがありました。霧

に包まれた展望台のカウンターで飲んだコーヒーが暖かかったことを今も覚えていま

す。

 

 インターラーケンへの帰路、ヴィルダースヴィルという駅で登山電車に乗り換え

て、シーニゲ・プラッテという標高1,967mの展望台がある場所に行きました。ここに

は広い高山植物園アルペンガルテンがあります。アルプスの山々は見えませんでした

が、多くの種類のアルプスの花を楽しむことができました。高山に咲く花はみな可憐

で色が鮮やかです。


alpsflw3.jpg 

 オーストリアで出版された高山植物の本によると、標高約1,700mを境にして、それ

よりも高地で咲く花をアルプスの花、それ以下の標高の場所で咲く花を草原の草花と

呼ぶそうです。

 

 この高山植物園で写した花の写真を数枚添付します。みな、国内の山歩きをしてい

た頃には見かけなかった花です。

 

 


alpsflw4.jpg都丸敬介(2009.4.14)

 

なんでもマルチメディア(594):エルサレム

2000年以上にわたって紛争が絶えないイスラエルの首都テルアビブで、198810

に国際コンピューター通信会議が開かれました。このとき、会議参加者のために用意

されたバスツアーでエルサレムとベツレヘムを訪ねたことは、今となっては実現が難

しい貴重な体験になりました。このときの印象記します。

 



is-iwanodome.jpg テルアビブからエルサレムまでの距離は60km強で、片側2−3車線の高速道路でつ

ながっています。途中、山の中の道ばたに中東戦争時代のトラックの残骸が転がって

いました。緊張感を保つために撤去しないのだそうです。

 

 エルサレムの街は、遠くから見ると白い山肌と建物の見分けがつかない、遺跡のよ

うな丘陵です。そして、城壁に囲まれた旧市街は、信仰と生活が混在している活気が

感じられます。すべての建物が石造りで、何度も破壊と再構築が繰り返されたため

か、無秩序であり、狭い路地の店はきわめて東洋的です。しかし、新しいエルサレム

の市街は立派な建物が整然と並び、優雅で裕福に見えました。

 


 旧市街の中心にある有名な岩のドーム(写真1)は燦然と輝き、嘆きの壁(写真2

には多くの人が頭をつけて祈っていました。嘆きの壁の内側にあるトンネルにはユダ

ヤ教徒しか入れないということで、入り口でユダヤ教徒がかぶる丸い帽子をかぶって

入りました。

 


is-nagekinokabe.jpg ベツレヘムも丘の町です。キリスト生誕の場所といわれる聖誕教会のなかに、生ま

れたばかりの子供の像が祭られていました(写真3)。すごく生々しい感じでした。

現在、この場所はパレスチナ自治区にあり、簡単には行けないようです。

 


is-seitankyoukai.jpg都丸敬介
(2009.4.6)

なんでもマルチメディア(593):無線給電

すこし古い話ですが、家電機器に対する無線給電技術の実用化を目的とする総務省

主導の研究チームが、家電製品メーカーや通信事業者が参加して、20092月中に発

足するという新聞記事がありました。実用化目標時期は2015年ということです。

 

 この技術が実用になると、テレビやパソコンの電源コードが不要になって部屋の中

がすっきりするだけでなく、情報通信機器の利用面でも大きな効果が期待できます。

たとえば、携帯電話やディジタルカメラの内蔵電池を無線給電で自動的に充電すれ

ば、電池切れのトラブルを大幅に減らせるはずです。私が使っている超音波歯ブラシ

は、すでに無線給電で充電する電池を内蔵しています。歯ブラシとテレビやパソコン

では必要な電力量がちがうので、これからの研究では供給できる電力量と給電距離の

増大が重要な課題になります。

 

 この分野の研究に、米国MIT(マサチューセッツ工科大学)が2006年に提唱した

WiTricity(Wireless electricity)があります。20076月には無線給電器から2m離

れた電球を点灯したということです。WiTricityについては、日経エレクトロニクス

2007123日号)にかなり詳しい解説記事があります。

 

 無線給電の研究では、供給可能電力や給電距離のほかに、エネルギー効率や人体へ

の影響の評価も重要なテーマです。便利さの追求と同時に、悪影響を生じないことの

確認をしっかり行うことを期待します。

 

都丸敬介(2009.3.30)

なんでもマルチメディア(592):ブイヤベースとマルセイユ


1972
年に職場が武蔵野市から横須賀市に移転なり、逗子市に住むようになりました
。その頃は、珍しさもあり、三浦半島のドライブを楽しんでいました。ある日、食事に立ち寄った観音崎京急ホテルのレストランで、ブイヤベースに出会いました。始めて食べたブイヤベースが気に入って調べたところ、マルセイユの漁師の料理がルーツだということがわかりました。

 そのときから4分の1世紀たった1997年のゴールデンウイークに、アヴィニョンに滞

在してフランスのプロヴァンス地方を観光しました。近くまで来たのだから、本場の

ブイヤベースを味わおうということで、TGV(新幹線)に乗ってマルセイユに行きま

した。


marseille(kyukou).jpg 良い店があるという旧港(写真)に行き、一軒の店に目を付けましたが、昼食時間
には早すぎたので、タクシーで市内観光をすることにしました。タクシーのたまり場に行って、英語が話せる運転手を見つけ、ガイド代込みで2時間の契約をして、行く先は任せました。

 最初に行ったのが、地中海から港に入る入り口の小高い丘の上にあるノートルダ

ム・ド・ラ・ガルド寺院でした。高い塔のてっぺんに、町と海の安全を守るマリア像

(写真)
がある寺院の境内からの展望は見飽きません。アレクサンドル・デュマの名
作”巌窟王”の舞台になった牢獄の島がすぐ近くにあります。

 

運転手にブイヤベースの店を推薦してもらったところ、奇しくも目を付けた店でし

た。バケツのような深い鍋に一杯入ったブイヤベースは食べても食べても減りませ

ん。堪能して、その後のアヴィニョンに戻るまでのことは全く記憶にありません。
 
marseille-maria.jpg


 


都丸敬介
(2009.3.23)

なんでもマルチメディア(591):スペースシャトル

今朝(日本時間 2009316日午前843分)、宇宙実験室に長期滞在する飛行士

の若田光一さんを乗せたスペースシャトルが、ケネディ宇宙センターから打ち上げら

れました。NHK衛星放送で打ち上げの実況中継を見ていて、夢を描き続けて実現した

多くの人たちの努力と知力に改めて感動しました。

 

 ケネディ宇宙センターには家族で見学に行ったことがあります。フロリダ州オーラ

ンドのディズニー・ワールドのホテルに滞在したときに、宇宙センターのバスツアー

があることを見つけて、このツアーに参加したのです。

 



kennedyctr1.jpg ケネディ宇宙センターには屋内と屋外の展示場があり、スペースシャトルをはじめ

として、わくわくするような多くのものが展示されています。林立する巨大なロケッ

ト(写真ケネディセンター1)は壮観です。スペースシャトルのメインエンジン(写

真ケネディセンター2)を見ると、このように複雑で繊細な機械が過酷な状態の中で

安定して動作することが信じられません。アポロ月着陸船もあります。打ち上げロ

ケットが巨大なことと対照的に、着陸船の内部は非常に狭い感じでした。

 

 

















kennedyctr2.jpgセンターにはいくつかの映画館があります。巨大なスクリーンと大音響で、宇宙プ

ロジェクトに参加しているような錯覚を覚えます。売店ではいろいろな宇宙食を売っ

ていました。

都丸敬介(2009.3.16)

なんでもマルチメディア(590):読書


stratford.jpg私は子供の頃から読書が好きで、いろいろな分野の本を乱読してきました。今で
も、おもしろい本を手にすると、一日に6時間程度は本の世界に入り込んでしまいま

す。一つの小説を最初に読むときは、筋書きを追うことが主体になりますが、何年か

たって同じ小説を読むと、ちょっとした表現や背景の描写に引き込まれることがあり

ます。

 1994年に出版された翻訳本の連続殺人事件小説のなかで、「ストラトフォードの

ホーリー・トリニティ教会はライムの並木道のはずれにある。ウィリアム・シェイク

スピアがそこに埋葬されていて、・・・」、「ロイヤル・シェイクスピア劇場は音響効果の奇跡とされているのだ。」という文章を見つけたとたんに、この劇場でハムレットを観劇したことを思い出しました。

 

 ストラトフォード・アポン・エイヴォンは静かで美しい町です。郊外のウォーリッ

ク城には、今もウォーリック伯爵が住んでいるということです。

 探偵エルキュール・ポアロが活躍する、アガサ・クリスティーの「ナイルに死す」

1937年に書かれたものですが、この小説に描かれている風景は今も同じです。風景

描写やちょっとした引用文を拾い読みすることも読書の楽しみの一つです。

 

都丸敬介(2009.3.9)
warrick.jpg

なんでもマルチメディア(589):IT人材の育成

今朝(200932日)の日本経済新聞第1面に「IT分野 40−50万人雇用」と

いう見出しで、IT分野の「3カ年緊急プラン」を政府が検討しているという記事があ

りました。3年計画で、3兆円の投資の増加と40−50万人の雇用創出を目指すと

いうことです。このような計画はこれまでにも何度か立案されて実施されてきました

が、その成果についての説明や評価を目にしたことはほとんどありません。

 この新聞記事によると、IT人材の育成について「全国のネットカフェなどでコン

ピューターや通信などに関する基礎知識をインターネットを通じて教える」というこ

とですが、このようなことで大量の雇用創出につながる人材育成ができるとは思えま

せん。

 

 IT人材の育成については、職種ごとに求められる知識や技能を体系的に整理したIT

スキル標準を経済産業省が策定し、これに基づいて情報処理技術者試験が行われてい

ます。このITスキル標準や試験問題の内容を見ると、基礎知識に加えてかなりの専門

知識が求められることがわかります。

 

 インターネットを利用するeラーニングシステムはすでにあります。学習意欲があ

れば、既存のeラーニングシステムを利用して多くの知識を身につけることができる

でしょう。しかし、実務的なスキルを身につけるには十分とは思えません。実務の現

場を疑似体験できるバーチャル・リアリティ教材の充実がこれからの大きな課題にな

ります。そして、このこと自体が大きな雇用創出になる可能性があります。

 

都丸敬介(2009.3.2)

なんでもマルチメディア(588):好きなワイン

欧米の通信事業者と頻繁に情報交換をしていた時代にワインを飲む機会が増えたこ

とから、ワインに興味を持つようになりました。そこで一年間ワインの通信教育を受

講しました。毎月解説付きのワインを数本飲んで、最後には修了証書をもらいまし

た。飲酒量は少ないのですが、かなり前から、いつもシャブリを手元においてありま

す。

 いつか読んだ海外小説に、「日本人がシャブリを買い占めてしまうので、フランス

人の口に入りにくくなった」という趣旨の記述がありました。シャブリはブルゴー

ニュ地方の北西部の地名であり、ここでできる辛口白ワインの名前です。カリフォル

ニアワインにもシャブリという名前のものがありますが、ブルゴーニュのシャブリに

ある、独特の土壌による味がありません。

 フランス企業の日本支社の社員に、内輪のクリスマスパーティーに招かれてことが

あります。このときの当番が選んだワインがプイ・フュッセでした。そして贅沢な味

を一つ覚えました。また、アリゴテの味も覚えました。イタリアの白ワインではガ

ビ・ディ・ガビが好みです。

 フランスのアビニョン郊外にある小さな個人経営のホテルに数日滞在したときのこ

とです。最後の夕食にホテルのマダムが選んでくれた赤ワインがおいしかったので、

記念にラベルをはがすよう頼みました。ところが、翌朝出発するときに、ラベルをき

れいにはがせなかったといって、中身が入っている一本を土産に持たせてくれまし

た。このとき以来、ワインショップでコート・デュ・ローヌの名前を見ると心が弾み

ます。

都丸敬介(2009.2.22)

なんでもマルチメディア(587):ボストンのロブスター

逗子駅から葉山に行く道が海岸に出る手前に、レストランチェーンのレッドロブス

ターの店があります。久しぶりに海岸に散歩に出かけて、この店の看板から昔のこと

を思い出しました。レッドロブスターという店の名前は、米国メイン州の特産品であ

るメインロブスターに由来したと記憶しています。

 私がメインロブスターの味を覚えたのは、今からちょうど30年前にボストンに行っ

たときです。現在のインターネットの全身であるARPANETの機器を開発して製造して

いたBBNという会社がボストンの郊外にありました。この会社を訪問したときに泊

まったボストン市内のホテルの近くのレストランは、どの店もロブスターを売り物に

していました。

 一軒の店を選んで入ると、ウエイトレスにいきなりボイルかブロイルと聞かれまし

た。最初は意味がわからなかったのですが、すぐに「ロブスターを食べるのだろう。

ゆでるのか焼くのか」という質問だとわかりました。大きなはさみをもった、新鮮で

巨大なロブスターがたった7ドルだったことを今も覚えています。その後でロサンゼ

ルスで食べたメインロブスターは20ドル以上しました。

 1980年代の初期に東京の六本木にレッドロブスターが開店したころは何度か行きま

した。当時のこの店の自慢は、米国から生きたものを空輸し、死んでしまうと廃棄す

るということでした。この頃、アンカレジ空港の土産店ではさみをテープで巻いた生

きているロブスターを売っていました。今はどうなっているのでしょうか。

都丸敬介(2009.2.15)