なんでもマルチメディア(666):シニアのパソコンライフ

私は2006年に頼まれて、住んでいる逗子市のシニアを対象とするパソコン講座で指導をしています。基礎コースと応用コースの2レベルの講座を、それぞれ2クラス設け、毎年9月から翌年7月までの11か月、すべてのクラスで毎月2回ずつで学習を行っています。受講者は大部分が60歳~70最台で、80歳代も数名います。
2006年と現在では、パソコンを取り巻く環境が大きく変わりました。主な原因はインターネットの普及とブロードバンド化、スマートフォンの出現などです。
私が講座を引き受ける前の講義内容は、ワード、エクセル、電子メールの使い方といった一般的なパソコン利用方法が主体でした。これらのことがパソコンを使いこなすために大切であることは変わりありませんが、パソコンにはこれ以外の広い利用効果があります。写真の加工、写真の切り抜き、パソコン絵画の作成、スライドショーにバックグランド音楽を付けたフォトムービーなどのマルチメディア機能に受講者全員が強い興味をもっています。

パソコンでマルチメディア作品を作り、あるいはマルチメディア機能を楽しむためには、それに適したソフトウエアや、効果的な周辺機器が必用です。シニア世代の人たちが抵抗なく受け入れることができる、安価なソフトウエアや周辺機器を探して、分かりやすいテキストや教材を作ることは簡単ではありませんが、多くの受講者が熱心に取り組んでいる姿を見ていると私自身が楽しくなります。

昨年は逗子市の文化祭の公募美術展に、数名の受講者と一緒にパソコンで作った絵画を出展しました。マルチメディアの新しい世界が開けた感じです。添付した写真はこの美術展に出展したものです。この花はバリ島で写したものです。

flowers-south.jpg都丸敬介(2014年1月3日)

なんでもマルチメディア(640):文明災

4月14日に官邸で開かれた東日本大震災関連会議で、著名な哲学者の梅原猛氏が「福島原発の事故は文明災だ」と指摘されたことから、「文明災」についての議論がにぎやかになっています。

 4月15日の朝日新聞には、「私は『文明災』だと思う。原発が人間の生活を豊かにし、便利にする。その文明がいま裁かれている」と指摘したとあります。これだけの文章では、梅原氏が何を言おうとしたよくわかりませんが、別のインタビュー記事には「原発の事故は、近代文明の悪をあぶりだした。これは天災であり、人災であり、「文明災」でもある」と語ったとあります。

 文明の進歩が重大なマイナスの側面を伴っているのは常にあることです。原発が危険な放射線の発生源になることは最初から分かっていたことであり、その対策が重視されてきたけれども、それが十分でなかったために、深刻な状態になったのです。
人の生活を支え、便宜をもたらす多くの文明は常にマイナスの側面を伴っています。最近発生した、ソニーのプレイステーション・ネットワークからの、7,000万件の個人情報漏えいも一種の文明災と言えるでしょう。

  大震災からの復興のために取り組むべきことの1つが東京電力の電力供給能力不足を補うことです。日経エレクトロニクス(2011年4月8日号)に、周波数が違うために東日本では利用が難しい西日本の余剰電力を、東日本の電力消費者に直接供給する方法の提言記事がありました。これを実現するためには法律の改定が必要になるでしょう。目の前で電力不足問題が起こったのを契機に、このような長年の懸案事項を解決することが大切ではないでしょうか。

都丸敬介(2011年4月28日)

なんでもマルチメディア(639):災害に学ぶ

東北関東大震災で大きな被害を受けた方々には申し上げる言葉もありません。この大災害が発生した直後には、地震や津波について「想定外の規模」という言葉が繰り返して使われました。その後、地震発生から2週間たっても沈静の行方が見えない福島原子力発電所のトラブルについて、「これは人災だ」という声が大きくなってきました。

 何を指して人災と決めつけられるかというのは難しいことですが、福島原発の報道を追っていると、トラブルの原因が「想定外の災害規模」よりも、「想定してなかったこと」にあるように思えます。

 私も現役時代には開発を担当した情報通信システムのトラブルに何度も遭遇しました。トラブルの原因には、設計条件よりも大きな負荷あるいはストレスによることと、考えてもなかった現象によることがあります。前者は考えが甘かったことに起因し、後者は知恵や配慮が足りなかったことに起因します。どちらも人災ですが、開発当事者の責任は後者のほうが重大です。しかし、トラブルに出会った経験がないと、知恵や配慮はなかなか生まれてきません。現実に出会う機会が少ないトラブルについての知識を得るには、過去の出来事に学ぶことが効果的です。

 福島原発の事故に学んで、各地の原発で設備の見直しや災害訓練が始まっているようです。日本では今後も原発は必要だと思われます。今回の経験を生かして、日本が世界中の原発の安全性に貢献できるようになることを願います。

都丸敬介(2011年3月30日)

なんでもマルチメディア(637):インターネット家庭教師

定年退職後体調を崩した知人から、外出が難しいので、在宅家庭教師をしているという知らせを受けました。海外に住む外国人を相手に、インターネットを利用して、フェース・ツー・フェースで日本語会話を教えているということです。スカイプを利用して、通信料なしで、お互いの顔を見ながら会話をするので、大きな教育効果を経済的に実現しているようです。

 インターネットを利用する外国語学習は、世界的に拡大していて、世界最大のオンライン語学学習サイトの登録会員数は600万人以上だということです。この場合の学習形態は、用意されている教材を使う、一種の通信教育が主体ですが、受講者同士が自由に会話をする場も用意されているようです。

 インターネットを利用するコミュニティでは、規模の大きさが注目されがちですが、家庭教師的な個別学習指導も有用です。冒頭の知人の場合のように、何千キロも離れた場所にいながら行う、外国語の個人レッスンの効果が大きいことはいうまでもありません。

 定年退職後の自由に使える大きな時間を活用する方法の1つとして、インターネット家庭教師は多くの利点を備えています。大きな収入を期待するのではなく、新しい社会参加と考えることが精神的な豊かさをもたらすはずです。

都丸敬介(201129)

なんでもマルチメディア(636):中国のバーリンホウ

先週、中国のGDPが日本を抜いて世界第2位になったことを、テレビや新聞が繰り返して報道していました。今日(2011124日)の朝日新聞朝刊に付いていた、「朝日新聞グローブ」のバーリンホウ「80后」の特集は中国の新人類の一面を伝える興味深い内容です。「80后」とは1980年代に生まれた人という意味で、約22千万人いるということです。

 記事の最初に紹介された上海で仕事をしている女性は、年収6000万円という、米国の金融ビジネスエリートなみの収入を得ているということです。一方では、大学を卒業しても低収入にあえいでいる若者が多いという、社会的なひずみをこの記事は紹介しています。

 1980年代の初期に、私は情報通信分野の先端技術の講師を頼まれて何度か中国に行きました。その頃の日本の産業や生活と、現在の日本の状況を比べると、20年後の中国の姿は決して楽観できないように思えます。それが日本にどのように影響するのかわかりませんが、私たちも10年〜20年後の国の姿を考えなければなりません。

 「朝日新聞グローブ」の記事は、インターネットでも配信されています。アドレスは「http://www.globe.asahi.com」です。一読をお勧めします。

都丸敬介(2011124)

なんでもマルチメディア(626):写真のクリップ

日常的な散歩の途中や旅行先で写した花の写真をパソコンで見ていると、思いがけない美しさに気づくことがあります。このようなときは、パソコンで写真を切り抜いて、自前のクリップ・アートを作っています。
clip1.gif

パソコン文書に挿入して使える写真やイラストのクリップ・アートはいくらでもありますが、自分で写真のクリップを作るのも楽しいことです。私が作った写真クリップの一部を添付ファイルで送ります。添付ファイルは白い部分が透明になっているGIF形式です。ワードやエクセル、パワーポイントなどの文書に挿入すると、ちょっとしたアクセントになります。

 指導をしているシニア対象パソコン教室で、このような花の写真クリップを受講者に進呈すると、みんな喜んでいます。

 clip2.gif多くの花は輪郭の形状が比較的単純なので、マウスを使って切り抜きができますが、複雑な形状の切り抜きにはペンタブレットを使っています。今使っているペンタブレットは、2005年に開かれたハンドレッドクラブの会合で知り合った(株)ワコムの方にお世話になったものです。小型で低価格のものですが、その後購入した大型の高性能のものよりも写真の切り抜きには適しています。

 

 

clip3.gif複雑な写真の切り抜きには何時間もかかることがあります。長い時間パソコンの画面に視線を集中して無心に切り抜きに没頭していると、頭がすっきりしてきます。手足の筋肉を使うわけではないので、体全体がリラックスします。写真のクリップは時間がたっぷりある高齢者に適した遊びといえます。

都丸敬介(2010年6月21日)

なんでもマルチメディア(620):人生の節目

 私は今日(201033日)77才になりました。人生に幾つかの節目があるとすれば、77才の誕生日はその1つかもしれませんが、日常生活が10年前と殆ど変わらないので、格別の思いはありません。

 最近もっとも多くの時間を使っているのは、シニアパソコン教室ですが、現役時代からの延長で、ときどき企業の中堅技術者研修で「情報通信ネットワークの技術動向」の講義をしています。半世紀にわたって技術革新の最先端を体験した人がほとんど残っていないためか、受講者の強い反応を感じています。

 2日間で12時間の講義をするのは、かなりの体力と集中力が必要ですが、自分で納得できる講義を行うために、体調を整えていることが、日常生活にもよい効果をもたらしているようです。

 この講義では、最初に以下のような10年単位の特徴を整理して、技術の成り立ちや動向を説明しています。

1970年代:新ネットワーク時代の黎明期

1980年代:新通信サービスの発展期

1990年代:ディジタルネットワークの発展期

2000年代:ブロードバンドネットワーク時代

2010年代:サービス融合の時代

 

  このような見出しだけでは内容の説明になりませんが、それぞれの年代に議論したことや、実現したことあるいは実現できなかったことは、若い技術者に伝えるべき貴重な内容を含んでいます。

 

都丸敬介(201033)

なんでもマルチメディア(610):カナダの紅葉

紅葉の季節になりました。

 

 私が代表を務めているボランティア活動のシニアパソコン教室では、すでに終了し

た受講者を含めて、受講者とスタッフをメンバーとするメーリングリスト(ML)を

使って情報交流を行っています。

 

 私は今年の3月から、このMLに、「話の種」というタイトルで、1ページにまとめ

た写真入り旅行記を書いて配っています。今回は昨日配った「カナダの紅葉」の文書

を添付ファイルで送ります。
Autumnal leaves in canada .doc

 

 受講者の皆さんも楽しみにしていて、取り上げた話題についての思い出話をたくさ

ん頂いています。

 

都丸敬介(2009.9.7)

なんでもマルチメディア(597):喜寿に想う

古巣NTTの本社OB会から、喜寿を迎えた記念品をくださるという連絡を頂きまし

た。私は昭和8年(1933年)生まれの76才なので、ピンとこなかったのですが、数

え年齢だと今年が77才ということになります。

 

 子供の頃、祖父の喜寿の祝いに大勢の人が集まったことがありますが、その頃は7

7才まで生きるのは大変だったのかもしれません。今では後期高齢者が増え続けてお

り、77才はとくにお祝いをする年齢でもないと感じています。あと何年生きるのか

わかりませんが、生への執着も死への恐れも全くありません。健康で、やりたいこと

ができることを幸せと感じています。

 

 3年前から指導をしているシニアのパソコン教室に、最近82才の新入生が加わり

ました。家族全員がパソコンを使っているけれども、だれも使い方を教えてくれない

ので、教室で学習することにしたというのです。この心意気には私自身が見習うこと

があります。

 

 過日、本屋で「Wordでパソコン絵画を楽しもう」という、2009年3月出版の本

を見つけました。WordExcelなどのパソコン用ソフトウエアに組み込まれている図

形描画機能を使って絵を描く方法と楽しさを解説した本です。著者は大正末期の生ま

れということです。著者の作品のほかに「マウスアート同好会」という仲間の見事な

作品が多数紹介されています。こうした例に見られるように、パソコンにはいろいろ

な使い方があります。

 

 私もシニアパソコン教室の学習テーマとして図形描画や写真の加工を取り上げてい

ます。テキストを作っている課程で次々に新しい発見があり、自分自身の学習を楽し

んでいます。

 

都丸敬介(2009.4.27)

なんでもマルチメディア(590):読書


stratford.jpg私は子供の頃から読書が好きで、いろいろな分野の本を乱読してきました。今で
も、おもしろい本を手にすると、一日に6時間程度は本の世界に入り込んでしまいま

す。一つの小説を最初に読むときは、筋書きを追うことが主体になりますが、何年か

たって同じ小説を読むと、ちょっとした表現や背景の描写に引き込まれることがあり

ます。

 1994年に出版された翻訳本の連続殺人事件小説のなかで、「ストラトフォードの

ホーリー・トリニティ教会はライムの並木道のはずれにある。ウィリアム・シェイク

スピアがそこに埋葬されていて、・・・」、「ロイヤル・シェイクスピア劇場は音響効果の奇跡とされているのだ。」という文章を見つけたとたんに、この劇場でハムレットを観劇したことを思い出しました。

 

 ストラトフォード・アポン・エイヴォンは静かで美しい町です。郊外のウォーリッ

ク城には、今もウォーリック伯爵が住んでいるということです。

 探偵エルキュール・ポアロが活躍する、アガサ・クリスティーの「ナイルに死す」

1937年に書かれたものですが、この小説に描かれている風景は今も同じです。風景

描写やちょっとした引用文を拾い読みすることも読書の楽しみの一つです。

 

都丸敬介(2009.3.9)
warrick.jpg