なんでもマルチメディア(640):文明災

4月14日に官邸で開かれた東日本大震災関連会議で、著名な哲学者の梅原猛氏が「福島原発の事故は文明災だ」と指摘されたことから、「文明災」についての議論がにぎやかになっています。

 4月15日の朝日新聞には、「私は『文明災』だと思う。原発が人間の生活を豊かにし、便利にする。その文明がいま裁かれている」と指摘したとあります。これだけの文章では、梅原氏が何を言おうとしたよくわかりませんが、別のインタビュー記事には「原発の事故は、近代文明の悪をあぶりだした。これは天災であり、人災であり、「文明災」でもある」と語ったとあります。

 文明の進歩が重大なマイナスの側面を伴っているのは常にあることです。原発が危険な放射線の発生源になることは最初から分かっていたことであり、その対策が重視されてきたけれども、それが十分でなかったために、深刻な状態になったのです。
人の生活を支え、便宜をもたらす多くの文明は常にマイナスの側面を伴っています。最近発生した、ソニーのプレイステーション・ネットワークからの、7,000万件の個人情報漏えいも一種の文明災と言えるでしょう。

  大震災からの復興のために取り組むべきことの1つが東京電力の電力供給能力不足を補うことです。日経エレクトロニクス(2011年4月8日号)に、周波数が違うために東日本では利用が難しい西日本の余剰電力を、東日本の電力消費者に直接供給する方法の提言記事がありました。これを実現するためには法律の改定が必要になるでしょう。目の前で電力不足問題が起こったのを契機に、このような長年の懸案事項を解決することが大切ではないでしょうか。

都丸敬介(2011年4月28日)

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