なんでもマルチメディア(393):eラーニング

4月末に国内の46大学が協力して、インターネット利用型eラーニングの「オンデマンド授業流通システム」を立ち上げたという報道がありました。学習結果は正規の単位として認定されるということです。この報道に接して感じたのは「ずいぶん時間がかかるな」ということです。2001年に改訂された大学設置基準で、通信制では卒業に必要な124単位の全てを、通学制では60単位までを習得できることになったようですが、問題は、魅力ある学習コースの充実と運用体制の整備にあります。
 私自身、1990年代初期から、テレビ会議利用型やインターネット利用型eラーニングの実験およびeラーニング用教材の作成に関わって来ました。これらの経験や企業におけるeラーニングの利用状況と比較すると、大学のeラーニングの導入は驚くほど遅々としています。1990年代中頃、インターネットを利用するオンデマンド型eラーニング普及の鍵は、ブロードバンド・ネットワークの普及と密接に関係があることを議論したことがあります。
 2000年代に入って、ブロードバンド・サービス利用者が急増したにもかかわらず、すでにeラーニング履修者が300万人を超えたという米国と比べて、大学教育における日本のeラーニングの導入は非常にゆっくりしています。今度こそ、大学のeラーニングの本格的な発展を期待したいです。大学の単位を修得できることは、若い人たちだけでなく、シニアー年代の人たちに新しい生き甲斐あるいは刺激を与えることになるはずですが、この面での学習環境整備はこれからの課題です。
都丸敬介(2005.05.21)

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