最近ライフログ(lifelog)をキーワードとする研究や議論が目に付くことが多くなってきました。「行動履歴記録」という堅苦しい言葉がライフログの意味を端的に表していますが、記録対象項目やデータの取得方法、記録したデータの利用方法などについての枠組みは明確ではありません。
クレジットカードを使った商品購入履歴、家電機器のリモコンの操作履歴、GPSと連動した車の走行履歴などのライフログは、企業の販売戦略の有力な情報になりますが、犯罪に悪用される危険もあります。
米国国防総省高等研究計画局(DARPA)が着手したLifeLogプロジェクトは、プライバシー保護のために2004年に取りやめになったということです。2008年頃から総務省と経済産業省がライフログの検討会を行っているようですが、その内容はインターネットで見てもほとんど分かりません。
ライフログの技術は孤独な高齢者の安全保護やエネルギー消費量の節約など、多くの社会問題対策に活用されるでしょうが、悪用を防がなければなりません。ライフログは一例に過ぎないことかもしれませんが、情報通信技術が市民生活に与える影響を、分かりやすい言葉で具体的に説明する啓蒙活動が必要です。
都丸敬介(2010年7月14日)