米アップルの多機能携帯端末iPadが日本でも発売になり、大きな反響を呼んでいます。iPadは新しい形態の電子書籍端末として注目されていますが、すでに複数種類の電子書籍端末が存在しています。それなのに、なぜ日本でiPadのようなものが開発されなかったのかという議論がほとんどありません。
新しいものを実現するには、こんなものが欲しいという夢、描いた夢を実現する執念、夢を実現するための支援体制、製品やシステムの実現に必要な要素技術などが必要なことを、過去の多くの事例が示しています。
国際的な情報通信分野での存在感が低下している日本が、1980年代の元気を取り戻すためには、iPadのようなものがなぜ日本で出現しないのかといったことを声高に議論する必要があります。多機能携帯端末の分野には日本発の優れた技術や利用経験が多くあります。これらの資産と夢を結びつけると何を生み出せるかという議論も必要でしょう。たとえば、iPadのディスプレイを電子ペーパーで実現して、コンテンツを見るときにはポケットから取り出して広げて使うといったことがあります。
iPadを手に入れるために泊り込みで並ぶエネルギーを、日本発の新製品に活かすことを、現役を引退したオールドエンジニアの一人として期待しています。
都丸敬介(2010年6月1日)
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