なんでもマルチメディア(606):コグニティブ無線

携帯電話や無線LANの普及に伴って、無線技術の研究開発が一段と加速していま

す。そのなかで、2000年代に本格的な研究が始まった、注目すべきテーマの1つがコ

グニティブ無線(CR)です。

 

 従来の無線通信では、用途あるいは規格ごとに使用する無線周波数範囲が決められ

ていて、その周波数範囲内の複数の通信チャネルのなかから空いているものを探して

使うというのが一般的です。コグニティブ(認知)無線の基本的な考え方は、個々の無

線通信機器が現在ある場所の無線電波の状況を調べて、効率よく使えそうなものを認

知して使うということです。このことによって、逼迫している無線電波の利用効率の

大幅な改善が期待されます。

 

 現在のCRの研究活動には2つの分野がみられます。第1は、既存のシステムにとら

われずに、利用できる周波数を自由に使うというものです。第2は、1台の通信端末

が、複数の通信サービスの中から使えるものを自由に選んで使うというものです。本

来のCRは第1の分野ですが、身近な実用性では第2の分野が注目されます。たとえば、

ユーザーがなにも操作しなくても、1台の端末を、携帯電話網やPHS網、あるいは無線

LANに自由につないで最適な利用状態を実現するということです。

 

 第2の分野については、すでに幾つかの実験成果が報告されています。そして、総

務省は2015年ころにはこのようなCRの普及が進むとみているようです。これは、1

の通信端末を固定通信と移動通信で共用するFMC(固定・移動通信融合サービス)の

発展形態とも見なすことができます。

 

都丸敬介(2009.7.21

なんでもマルチメディア(605):カナリア諸島旅行(5)

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 朝8時にホテルを出発。島の西海岸の道を通って、北部の町プエルト・デ・ラ・ク

ルスでオロタバ植物園を見学。1788年に王様の命令で着工したというこの植物園には

熱帯と亜熱帯の代表的な植物や珍しい植物が整然と配置されている。

dragontree.jpg 


 プエルト・デ・ラ・クルスの近くの町ラ・オロタバに移動する途中で、ドラゴンツ

リー(龍血樹、ドラゴの木)の大木を見た。高さが20m、枝の広がりが20mの巨大な古

木で、公称樹齢は800年。ただし推定樹齢は400年〜2,000年の幅があるという。年輪

ができないので樹齢の推定が難しいのだという。ドラゴンツリーはカナリア諸島が原

産地で、樹液が血のように赤いことからこの名前がついたということだ。

 ラ・オロタバでは聖体祭の準備が進んでいた。立派な町役場の前の広場にテントを

張り、砂絵を描く作業が進んでいた。18種類の色の砂は、火山島のこの島でとれるも

のである。花で彩られた街角で、老楽師が木琴でアルゼンチンタンゴを演奏してい

た。

 dragontree0.jpg


 朝のうちは雲一つなく、海岸からテイデ山頂が見えていたが、山道を登り始めると

雲が出て山が見えなくなった。けれども標高1,200mほどで雲の上に出た。

 標高3,718mのテイデ山はスペインの最高峰で、この山を中心とする一帯のテイデ国

立公園は世界遺産になっている。標高3,550mの展望台までロープウエイで登れるが、

その先は入場禁止地域として保護されている。

 展望台は気温が4℃だったが風がないので寒さを感じなかった。見渡す限り、世界

最大級のクレーターや黒い溶岩など、素晴らしい景観が広がっている。

 ケーブルカー乗り場から2km離れた、国営ホテルのパラドールで昼食をとった後、1

時間ほど溶岩原を散策した。

 この場所で、テイデ山が原産地のタケノコのような姿の不思議な花を始めて見た。

正式名はエキウム・ウィルドプレッティ(Teide bugloss)。1年草で、赤い小さな花

がびっしり咲いている。高さは2mほどあり、開花期間は2週間程度だという。鮮やか

な赤い花の隣に、白骨のような去年の花の名残が立っていた。

 午後5時にホテルに帰着。明日は早朝の飛行機で帰国する。

 

 


MT-teide.JPG都丸敬介(200978日)

なんでもマルチメディア(604):カナリア諸島旅行(4)


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6日(土)

 

 テネリフェ島の西に40km離れたラ・ゴメラ島に渡り一日を過ごす。朝815分にホ

テルのロビーに集合。すでにパトリシアさんが待っていた。大型の高速カーフェリー

9時にテネリフェ島を出発。1時間足らずでラ・ゴメラ島東海岸の町サン・セバス

ティアンに到着。カーフェリーの客室は久里浜と金谷の間のフェリーの4倍ほどの広

さで、客室の下の車庫には大型バスが何台も入る。

 ラ・ゴメラ島は直径が20kmほどの円形の島で、カナリア諸島の中で唯一つ空港がな

い島だったが、空港の建設が進んでいた。島の中心に最高1,487mの台地がある。この

付近は照葉樹の原生林が広がるガラホナイ国立公園で、世界自然遺産に登録されてい

る。

 海から見た海岸の断崖や、島の中の険しい段々畑が印象的だ(写真参照)。訪れた

小さな熱帯植物園ではマンゴーやバナナの実がなっていた。

 


la Gomera.jpg 午後1時、島の北部の村ラス・ロサスのレストランで昼食。独特の指笛による情報

伝達のデモンストレーションがあった。客の持ち物を食堂の中に隠し、そのことを見

ていた男性が指笛で知らせると、別室で聞いた女性が隠したものを探し出して、持ち

主に渡す。山の中では数km離れて指笛による会話ができるという(写真参照)。

 昼食後、ガラホナイ国立公園の景色を楽しみながら、最高点の近くで車を降りて、

山頂に通じる幅3mほどの緩い傾斜の山道を歩く。道の両側には切れ目なくいろいろ

な花が咲いている(写真参照)。

 

 


la Gomera2.jpg空気が爽やかで、歩いていて気持ちがよい。1.5km

ほど歩いて山頂の展望台に出た。

 奇岩や段々畑を見ながらサン・セバスティアンに戻り、コロンブスが礼拝したとい

15世紀の教会の近くの喫茶店で休憩。午後5時発のカーフェリーに乗り、550分に

テネリフェ島に戻った。

 

 yubibue.JPG

 

 

 

なんでもマルチメディア(603):カナリア諸島旅行(3)

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 朝7時にホテルを出発して空港に向かった。途中で海から大きな朝日が顔を出した。飛行時間20分で、9時半にテネリフェ島の北空港に着いた。テネリフェ島には北空港と南空港があり、北空港のほうが大きい。着陸前にテネリフェ島のシンボルで富士山のように形がよいテイデ山がよく見えた。

 

 テネリフェ島は円盤に柄をつけたしゃもじのような形をしている。円盤部分の直径が約60kmでその中心にスペインの最高峰テイデ山(標高3,718m)がある。柄の部分が北東に延びていて、その中央部に北空港がある。

 空港では現地女性ガイドのパトリシアさんが待っていた。パトリシアさんはフランス人で、24年前にテネリフェに移住したという。陽気で健康的。癖のないわかりやすい英語を話す。

 

 最初に訪れたのは空港からあまり遠くない、世界遺産の古都ラ・ラグーナ。グランカナリアのテロールと同様に、木造のバルコニーが目につく。黒光りしている松の木で造ったバルコニーには細かい彫刻が施されていて、ネパールの建物を思い出した。町中を一回りしてからマーケットを見学。果物や魚、花などの種類が多く、色が鮮やかだ。(写真参照)

 


tenerife-island(Mt-Sea).jpg ラ・ラグーナから北東に進み、クルーズ・デル・カルメンの見晴らしがよいレストランで午後1時に早めの昼食。ゆでたジャガイモから始まり、メインは厚さ2cmほどの大きなポーク。

 ここから東に進み、テイデ山がよく見える展望台まで車で登った。この後、青い海と黒い岩が美しい海岸の村タガナナに下った。この村に下る道はアップダウンとカーブが激しく、終点がない高速ジェットコースターのようだった。(写真参照)


 今日の観光はここまでで、島の東海岸の高速道路を延々と走り、ホテルに向かった。ホテルは島の南部の新開発リゾート地ラ・カレータの新しい五つ星ホテルシェラトン・ラ・カレータ。庭にいくつもの

 

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ールがあり、その先の海岸の砂浜にも出られる。

都丸敬介(2009.7.2