なんでもマルチメディア(605):カナリア諸島旅行(5)

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 朝8時にホテルを出発。島の西海岸の道を通って、北部の町プエルト・デ・ラ・ク

ルスでオロタバ植物園を見学。1788年に王様の命令で着工したというこの植物園には

熱帯と亜熱帯の代表的な植物や珍しい植物が整然と配置されている。

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 プエルト・デ・ラ・クルスの近くの町ラ・オロタバに移動する途中で、ドラゴンツ

リー(龍血樹、ドラゴの木)の大木を見た。高さが20m、枝の広がりが20mの巨大な古

木で、公称樹齢は800年。ただし推定樹齢は400年〜2,000年の幅があるという。年輪

ができないので樹齢の推定が難しいのだという。ドラゴンツリーはカナリア諸島が原

産地で、樹液が血のように赤いことからこの名前がついたということだ。

 ラ・オロタバでは聖体祭の準備が進んでいた。立派な町役場の前の広場にテントを

張り、砂絵を描く作業が進んでいた。18種類の色の砂は、火山島のこの島でとれるも

のである。花で彩られた街角で、老楽師が木琴でアルゼンチンタンゴを演奏してい

た。

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 朝のうちは雲一つなく、海岸からテイデ山頂が見えていたが、山道を登り始めると

雲が出て山が見えなくなった。けれども標高1,200mほどで雲の上に出た。

 標高3,718mのテイデ山はスペインの最高峰で、この山を中心とする一帯のテイデ国

立公園は世界遺産になっている。標高3,550mの展望台までロープウエイで登れるが、

その先は入場禁止地域として保護されている。

 展望台は気温が4℃だったが風がないので寒さを感じなかった。見渡す限り、世界

最大級のクレーターや黒い溶岩など、素晴らしい景観が広がっている。

 ケーブルカー乗り場から2km離れた、国営ホテルのパラドールで昼食をとった後、1

時間ほど溶岩原を散策した。

 この場所で、テイデ山が原産地のタケノコのような姿の不思議な花を始めて見た。

正式名はエキウム・ウィルドプレッティ(Teide bugloss)。1年草で、赤い小さな花

がびっしり咲いている。高さは2mほどあり、開花期間は2週間程度だという。鮮やか

な赤い花の隣に、白骨のような去年の花の名残が立っていた。

 午後5時にホテルに帰着。明日は早朝の飛行機で帰国する。

 

 


MT-teide.JPG都丸敬介(200978日)