なんでもマルチメディア(492):年末年始の音

平成19年(2007年)が穏やかに始まりました。明けましておめでとうございます。
 毎年のことなのに、昨夜の除夜の鐘の音と、それに重なる、新年を祝う汽笛や花火の音がいつもよりも鮮明に聞こえました。
 私の家から直線距離で1kmばかりのところに、724年創建といわれる、神武寺という天台宗のお寺があります。逗子湾と東京湾の間に横たわる丘陵の高い場所にあるお寺なので、ここの鐘の音は家にいても良く聞こえるのですが、昨夜はほかにも3種類の鐘の音が聞こえました。
 新しい年が始まった0時には、ヴオーという船の汽笛が一斉に聞こえてきました。どこにいる船かは分かりませんが、東京湾の追浜か八景島のあたりではないかと思います。花火の音は東京湾側だけでなく、逗子湾側からも聞こえてきました。夏の花火大会は、葉山、逗子、鎌倉と、開催日が違うので、それぞれの場所からの音の違いが分かりますが、一斉に打ち上げられた花火の音は、夢うつつの状態では聞き分けられません。
 現役時代、家族で米国オーランドのディズニーワールドに新年のカウントダウンを見に行ったことがあります。12月29日に行き、ディズニーワールドの中のホテルに泊まったのですが、29日と30日の両日ともに、ディズニーワールドが閉園になった午後11時頃から盛大な花火のリハーサルが始まったのには驚きました。ベッドに寝ころんでリハーサルの花火を堪能した後、大晦日の夜は大きな池の畔で寒さに震えながら大騒ぎを見物しました。
 平穏に新年を迎えられる時代が続くことを祈ります。
都丸敬介(2006.12.17)

なんでもマルチメディア(490):グーグルマップ

久しぶりにグーグルマップ(google maps)で我が家の航空写真を見たところ、以前の写真とはすっかり変わって鮮明になっていたので感激しました。グーグルマップはインターネットのポータルサイトとして躍進を続けているグーグルが無償提供している地図情報で、航空写真だけでなく、航空写真と地図を重ねた画像も見られます。初期画面の検索欄に住所の番地まで入力して検索すると、駐車場に停まっている車の形や色まではっきりと分かります。面白半分に親戚や知人の住所を入力してみると、いろいろな発見があります。
 インターネットのおもなポータルサイトが、それぞれに地図情報を提供していて、目当ての場所にたどり着くまでの操作にも工夫が見られます。グー(goo)の地図では、住所を直接入力して目当ての場所を指定できますが、県名から始まる住所を、表示される選択候補の中から1項目ずつ順番に指定することもできます。これは未知の場所を探すのに案外便利です。
 グーグルマップでは世界中の航空写真が見られるので、旅行した場所やこれから行ってみたい場所の様子をかなり実感できます。フランスのモンサンミシェルは、海の中にあるので簡単に見つかりましたが、エジプトのギザのピラミッドは砂漠の中なのでなかなか見つかりませんでした。
都丸敬介(2006.12.11)

なんでもマルチメディア(489):コンピューターウイルス

コンピューターウイルスに感染するというのはどういうことなのか」、「ウイルスに感染したことはどうして分かるのか」、「ウイルス対策ソフトをパソコンに組み込んだところ、パソコンの動作がおかしくなった」、「インターネット事業者の迷惑メール防止サービスを申し込んだところ、警告メッセージが送られてくるが意味が分からない」といった相談を受けることがときどきあります。
 テレビや新聞でコンピューターウイルスの被害やインターネット犯罪が報道されることが多くなったにも関わらず、冒頭の疑問に答えるような啓蒙的な説明がほとんどありません。一口にコンピューターウイルスといっても、その種類は万のオーダーに達していて、もたらす影響や被害の状態はさまざまです。
JIS情報処理用語ではウイルスを,「自分自身の複写,又は自分自身を変更した複写を他のプログラムに組み込むことによって繁殖し,感染したプログラムを起動すると実行されるプログラム。備考:ウイルスには被害や迷惑を与えるものが多く,あらかじめ決められた日付などの事象によって起動されることがある」と定義しています。このように、専門家はウイルスの要件を規定していますが、一般にはこの定義に当てはまらないプログラムや不正行為との区別はつきません。
 セキュリティー対策ソフトウェアやサービス事業者のセキュリティーサービスは、それぞれに効果がありますが、広い意味のウイルスに感染しないため、あるいはネットワーク犯罪の被害者にならないための啓蒙活動の拡大が必要です。
都丸敬介(2006.12.04)

なんでもマルチメディア(486):ビジネスモデル教育

理工系の大学生を対象とする、ビジネスモデル教育に取り組んでいる友人がいます。ビジネスモデルの教育といっても、モデルそのものよりもモデルの作り方に重点を置いているようです。
ビジネスモデルの着想が良くても、それを実行するのに必要なコンピューターシステムを短期間に実現できないために、モデルが願望で終わってしまうことがあります。長年実務で苦労してきた人たち、とくに中小企業の経営者の多くはいろいろなアイデアや夢を持っています。しかし、情報通信技術(ICT)の知識や利用経験が乏しいために、アイデアを思うように実現できないで悩んでいる人が少なくありません。
 ICTの基礎知識を学習している若い人たちが、在学中に実業を疑似体験するのは良いことです。私事ですが、10年ほど前の一時期、会社の仕事のかたわら、頼まれて大学の情報工学の講座をもったことがあります。期末試験の代わりに「大学で学習していることを、社会人になったときにどのように活かしたいと考えるか」という趣旨のリポートを提出させたことがあります。このとき多くの学生が「このようなことを考えたことが一度もなかった。自分を見つめることができた。」と書き記していました。
 ビジネスモデルを作り、それを実現するためには、経験に裏打ちされた感覚的な要素と、モデルの妥当性を裏付ける論理的な要素のバランスが大切です。こうしたことを学校教育でどこまでできるのか、友人たちの活動の成果を楽しみにしています。
都丸敬介(2006.11.13)

なんでもマルチメディア(485):年賀状の季節

数ヶ月前から代表を務めている、高齢者を対象とするパソコン教室で、受講者の人たちとささやかな喜びを分かち合っています。
 今年も残りが少なくなり、年賀状を準備する季節になったので、パソコンではがきの宛名を書くことを講座のテーマにしたところ、3時間で受講者全員が目標に到達しました。毎年、この時期になると年賀状作成用ソフトウェアの新製品がパソコンショップに並びます。このようなはがき作成専用のソフトウェアではなく、標準的なワープロソフトのWordを使ったのですが、結果は上々でした。
 始めてパソコンで宛名を書いたはがきを、実際に投函するようにしたところ、ここでシニアらしいほほえましい姿を見ることができました。ある人が書いた宛名は、パソコンを進呈してくれたという息子さんでした。ご主人を宛名にした人やお孫さんを宛名にした人、記念のためにと自分を宛名にした人など、それぞれの人の思いを感じ取ることができました。次回の講座では、個性的な文面を作ることをテーマにする予定です。
 受講者は7対3程度の割合で女性のほうが多いのですが、みな学習意欲が強く、好奇心が旺盛です。なかには、3時間の講義時間が終わるとぐったりして、家に帰ると学習したことをみな忘れてしまうという人もいますが、脳の刺激になるからと熱心に学習を続けています。目に見えて進歩している状況を見ているのは楽しいことです。
都丸敬介(2006.11.06)

なんでもマルチメディア(484):技術用語

専門分野の雑誌や研究論文を見ていると、かなり大きな頻度で、知らない用語に出会います。その多くはインターネットで調べても見つからない新語です。このような用語に出会うと、強い好奇心がわいてきます。
 毎週一回NHKのラジオ放送で、新語・流行語の解説をしています。この番組では「新語・流行語を知ると世の中が見えてくる」いう趣旨の決まり文句が最初にあります。このことに異論はありませんが、社会現象の窓として目にとまる新語・流行語と、専門技術分野の新語あるいは造語との間には性格の違いがあるように思います。
多くの専門用語には、それを提案した人の思想と情熱が込められています。私自身、新しく開発した技術に付けた名前が業界で広く使われるようになった経験をもっています。技術教科書や市販製品の説明書で、自分が提案した用語を眼にすると、なんとなく嬉しくなります。
 知らない用語に出会ったときは、それを手作りの用語集に収録しています。最初に出会ったときの説明ではよく理解できなかった用語でも、別の資料で見つけて整理すると次第に分かってくることがあります。多くの人が情報を提供して作っているインターネット上の百科事典のウィキペディアが話題になっていますが、技術の専門的なことになると内容が貧弱です。一方、項目によっては記載されていることが多すぎて、要点を的確に把握できないことがよくあります。
 数文字の用語でも、真意を理解することは簡単ではないことを毎日実感しています。
都丸敬介(2006.10.31)

なんでもマルチメディア(483):IP電話のトラブル

今年(2006年)9月にNTT東日本のIP電話サービスで、長時間にわたって正常な通話ができないというトラブルがありました。そして、今度はNTT西日本で似たような大規模の通話障害が発生したことが、テレビや新聞のニュースで報じられました。
 原因は分かりませんが、トラブルの根底にはかなり難しい技術的な問題があるのではないかという感じがします。電話をかけるときには、相手の電話番号をダイヤルします。従来の電話網ではこの電話番号から接続先を割り出して接続をします。
一方IP電話では、音声信号を運ぶパケットを送信者から受信者に送るのに、IP(インターネット・プロトコル)アドレスを使います。このために、電話番号とIPアドレスを対応付ける制御が必要になります。このような制御処理を1秒程度の短時間で実行するためには高性能のサーバー(コンピューター)が必要です。
 1980年代には高い完成度に達していた固定電話では、発信者がダイヤルを終わってから着信者を呼び出すまでの時間や接続失敗率など、いくつものサービス品質指標を決めて、その目標値を実現しています。公衆通信サービスとしてのIP電話サービスは、すでに実現したサービス品質と簡便な操作性を継承しなければなりません。これは簡単なことではありませんが、発生したトラブルを教訓にして、安心して利用できるサービスを実現することを願います。
 私の家では、光回線のほかに従来の固定電話回線を残しています。
都丸敬介(2006.10.24)

なんでもマルチメディア(482):ビジネス・インテリジェンス

このコラムの掲載と配布でお世話になっているBINETのBIの語源はビジネス・インテリジェンスです。最近米国で発行されたコンピューターの専門誌に「ビジネス・インテリジェンスを一層役立つようにする」という記事がありました。
 この記事によると、BIの考え方が生まれたのは1970年代であり、大量のデータを収集、蓄積および分析することによって、企業活動の意思決定に役立てることだったとあります。このことは米国のCIA(中央情報局)のネーミングと符合します。CIAのIはインフォメーションではなくインテリジェンスです。そして、収集した情報を分析して知識に変えることがCIAの本来の役割だといわれています。
 上記の記事によれば、従来のBIの欠陥は情報の分析に時間がかかりすぎることだったが、最近はBIの普及が加速しているということです。そして、このことを裏付ける、BI関連産業の収益の急速な伸びが示されています。この背景として、SOA(サービス・オリエンテッド・アーキテクチャー)と呼ばれるソフトウェア製品が良くなってきたことを指摘しています。
 最近のBIシステムでは、意思決定に役立つ情報を瞬時に絞り込んで提供することができるようになったということです。リアルタイム性と有用な情報の絞り込みは情報社会に生きるための基本です。しかし、意思決定を行うのは人です。コンピューターがはき出す情報を丸飲みにしないで、BIシステムといえどもツールだということを忘れないようにしなければなりません。
都丸敬介(2006.10.15)

なんでもマルチメディア(481):情報発信

「ニューメディア」や「テレトピア」をキーワードとする新しい情報社会の実現を目指して、日本全国が盛り上がった1980年代の合い言葉の一つが「情報発信」でした。地方都市で開かれたセミナーや研究会では、必ずといっていいほど、「地域活性化のために情報発信基地を作るのだ」ということが話題になりました。しかし、どのような情報をどのような形で発信するのか、発信する情報を地域産業にどう結びつけるのか、という具体的なことになると、話が進まなくなりました。その後、インターネットの商用サービスが始まってから、ホームページによる全国的な情報発信が本格的になりました。
 そして今、「情報発信」が新たに社会のキーワードになりました。Web2.0の具体例とされているブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)がこれです。1980年代の実らなかった「情報発信」を第一世代、1990年代のホームページによる「情報発信」を第二世代とすると、Web2.0は「情報発信」の第三世代といえます。
 ブログやSNSの情報発信者は個人が中心であり、これらが地域の活性化や産業の発展にどのように寄与するのかといったことはまだはっきりしていません。けれども、すでに多くの前例がある、幾つかのヒントがあります。
注目すべきことは、共通の関心事項について仮想空間に集まった人たちを、実空間に誘導して集める場を用意することです。ネット社会の発展に伴って、仮想空間に集まるのは得意だけれど、実空間に集まるのは不得手だという若い人たちが増えることが心配です。このような人たちに、実空間に集まることの楽しさを体得させる情報発信がWeb2.0時代の重要なテーマになります。
都丸敬介(2006.10.08)

なんでもマルチメディア(480):紅葉の季節

10月になり、本格的な紅葉の季節になりました。窓から見える木々はまだ濃い緑ですが、少しずつ色が変わり始めました。この季節になると、記憶のどこかに潜んでいる素晴らしい紅葉の体験が、つい最近のことのように浮かび上がってきます。
 昨日(2006年10月1日)、パリのロンシャン競馬場で開催された、凱旋門賞競馬レースで武豊騎手のディープインパクトが僅かな差で優勝を逃がしました。このレースが始まる前に、パリ郊外のシャンティイで仕上げの調教を行っていることが報じられていました。シャンティイはパリから鉄道で30分ばかりで行けるので、何度か行ったことがあります。駅からシャンティイ城までの、森の中を歩く道の黄葉は強く印象に残っています。道の左手には競馬場があり、立派な建物が連なっています。城の一部かと思ったその建物が厩舎だと知ったときには驚きました。
 ヨーロッパの秋は、どこに行っても紅葉ではなく黄葉です。黄葉を見た目で日本の鮮やかな紅葉を見ると、その華やかさに圧倒されます。東京で開かれた国際会議に参加したフランス人が、日光の紅葉を見て興奮していたことを思い出しました。
 北関東や東北地方ではいたるところで素晴らしい紅葉を見ることができますが、裏磐梯にある自動車専用道路の磐梯吾妻レークラインの紅葉は特に見事でした。紅葉のトンネルを走り抜けなければならないのが残念ですが、その先にも次々に素晴らしい景色が展開します。ここはもう一度行ってみたいところです。
都丸敬介(2006.10.02)