なんでもマルチメディア(616):オールドメディアの再生

 新しい年が始まりました。明けましておめでとうございます。
 

昨年末から、LPレコードやビデオテープ、LD(レーザーディスク)の再生を始めました。半世紀以上前から気の向くままに買ってきた、これらの媒体の大部分は、ほこりを被ったままですが、ときどき、再生することがあります。ところが、LDプレイヤーやビデオデッキが古くなり、いつ動かなくなるかわからない状態になってきました。そこで、パソコンを使って、CDやDVDに中身をコピーすることにしました。

 レコードの音楽をパソコンに取り込むために、アンプの出力をパソコンのUSBポートにつなぐ「USBオーディオ・アダプター」(3,500円)と、ビデオテープやLDの映像+オーディオを取り込むために「USBビデオ・アダプター」(5,000円)を買ってきました。


 どちらも使い方は比較的簡単です。使いこなすには、いくらかのパソコンの知識が必要ですが、慣れてくると、いろいろなことができます。

 何十年ぶりに聞く懐かしい歌手の歌声や、博物館に長く保存されるような、オペラのライブ録画には引き込まれてしまします。

 オーディオ・アダプターを使うと、メールのバックグラウンドに付けても相手に迷惑をかけない程度に、音楽の長さやデータ量を調節できます。
 DVD作りにはかなりの時間がかかりそうですが、今年の楽しみが一つできました。

都丸敬介(2010年1月3日)

なんでもマルチメディア(615):玄奘三蔵ゆかりの地

2009122日に亡くなられた、平山郁夫画伯の名画の1つ「仏教伝来」の主役は、

玄奘三蔵法師です。2005年に出かけたシルクロード旅行で、玄奘三蔵ゆかりの場所を

訪れました。

 

 西遊記で三蔵法師の家来の孫悟空が活躍する火焔山(写真?)の近くに、高昌古城

遺跡があります。ここは、敦煌に近く、シルクロードの砂漠地帯が始まる、トルファ

ン盆地の一角です。

 


pht-1.jpgほぼ正方形の城壁に囲まれた高昌故城は、日干し煉瓦を積み上げて建築した、広大な

遺跡です(写真?〜?)。7世紀初頭、インドに向かう途中で、玄奘三蔵が1ヶ月滞

在して説教をした円形ドーム状の講堂(写真?)は、きれいに復元されていました。

 

 高昌故城の近くに「アスターナ古墳群」があります。古墳といっても、土が少し盛

り上がっているだけで、墓は地下を掘ったものです。古墳の主はみなミイラになって

います。ここのミイラはエジプトのミイラとは異なり、内蔵を取り出さないもので

す。博物館に展示されているミイラはかなり生々しい感じでした。

 


pht-2.jpg
pht-3.jpg 1979年に実施された、NHKのシルクロード・プロジェクトの記録、「シルクロード

5巻:天山南路の旅」に、このあたりのことが詳しく記されています。

 

 
pht-4.jpgカラコルム山脈を越えて、現在のパキスタンからインドに着いた玄奘三蔵が持ち

帰った仏典が、西安の慈恩寺の大雁塔(高さ64m、写真?)に収められています。写

真?は大雁塔の最上階から、シルクロードの方面を見た写真です。トルファンは、西

安の西、約1,400kmの場所にあります。シルクロードの旅は時間と空間を超越しま

す。

 

 


pht-5.jpg

 


pht-6.jpg都丸敬介
(2009.11.23) 

なんでもマルチメディア(614):電子ブック

インターネットで本を読む時代がくることは、インターネットの商用サービスが始

まった1990年代から期待されたことであり、いろいろな機器やサービスが開発されて

きました。しかし、なかなか普及が進んでいません。こうした中で、米国のアマゾ

ン・ドット・コムが日本でも発売した電子書籍端末「キンドル」が」大きな話題にな

りました。米アマゾン・ドット・コムは、さらに今年10月に、電子書籍をパソコンで

読むためのソフトウェアの無料配布を始めました。

 

 私は、アマゾン・ドット・コムのサービスではなく、Flibという電子ブックをとき

どき読んでいます。これは2007年に日本国内で始まった無料サービスです。Flib

は、小説、絵本、雑誌などがあり、小説の分野には、著作権が切れた、太宰治、芥川

龍之介、宮沢賢二、など多数の作家の作品が並んでいます。絵本にはナレーションが

付いているものもあります。

 

 Flibはフリップブックの略で、本のページをめくる感じで、書面がパソコン画面に

表示されます。非常に見やすく、長時間読んでいても疲れません。

 Flibのホームページアドレスは「http://www.flib.jp/」です。キーワード検索で

Flib」と入力しても、ホームページを開くことができます。Flibを読むためには、

FlipViewer」というプログラムが必要ですが、これは無料でダウンロードしてイン

ストールできます。

 

 時間にゆとりがあるシニア世代には推奨できます。指導をしているシニアパソコン

教室で紹介したところ、かなり好評です。

 

都丸敬介(2009.11.23) 

なんでもマルチメディア(613):ウィンドウズ7

マイクロソフト社の新しいパソコン用OSとしてウィンドウズ7が発売になりまし

た。ウィンドウズヴィスタの出来の悪さにはうんざりしていたので、ウィンドウズ7

 ホームプレミアムのアップグレード製品を使って、手元のパソコンのOSをヴィスタ

から7に変更しました。

 

 この切り替えの体験を参考までにお知らせします。

 ウィンドウズ7のインストールには約2時間かかりました。この中の約70分は、既存

の「ファイル、設定、プログラム」の情報を集めて、ヴィスタを7に切り替えた後で

復元するのにかかった時間です。以前、ウィンドウズXPをヴィスタに切り替えたとき

6時間くらいかかったことと比べると、2時間はかなり短い時間です。

 

 ウィンドウズ7に切り替えてわかったことですが、ヴィスタに付属していたWindows

メール、フォトギャラリー、ムービーメーカーといった、いくつかの重要なプログラ

ムがウィンドウズ7には含まれていません。ヴィスタを7にアップグレードするとこ

れらのプログラムが消えてしまうので、7へのアップグレードを実行するときは慎重

な対策が必要です。

 

 これらはWindows Liveというフォルダーにまとめられました。Windows Liveには、

これら3つのプログラムのほかに、Windows Live CallWindows Live Messenger

Windows Live Writerというプログラムが含まれています。Windows Liveは無償でダ

ウンロードして使えますが、ダウンロードには30分ほどかかりました。

 

 こうした機能変更の背景に見えることは、グーグルに対抗するオンライン・アプリ

ケーションサービスのユーザー獲得と動画情報配信の強化です。このことがユーザー

にどのように受け止められるのか、興味深いことです。

 

都丸敬介(2009.112)

なんでもマルチメディア(612):見えてきたクラウド・コンピューティング

インターネットの新しい利用方法として、クラウド・コンピューティングという言

葉が盛んに使われていますが、説明の多くは抽象的であり実態は「雲の中」でした。

その解釈や利用方法は多岐にわたるようですが、具体例として、SaaS(ソフトウェ

ア・アズ・ア・サービス)、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)、HaaS

(ハードウェア・アズ・ア・サービス)といった、大規模データセンターを利用する

サービスが始まりました。

 

 このことはインターネットの原点への回帰ともいえます。1969年にスタートしたイ

ンターネットのルーツであるARPANETは、パケット交換技術を使う、複数のコン

ピューターセンターの相互利用ネットワークです。その後、電子メールの利用が拡大

しましたが、ARPANETの通信プロトコルがIPに切り替えられて、インターネットとい

う言葉が使われるようになった1983年以降も利用方法の大きな変化は見られませんで

した。

 

 1990年代にWWWの標準技術やブラウザーが開発されて、インターネットの利用方法

の主流が変わってきました。また、ユーザー端末として使われているパソコンの機能

向上や通信回線の高速化といった利用環境の変化が急速に進みました。

 

 これらのことを背景とする、クラウド・コンピューティングの中核であるデータセ

ンターの革命的な変化は注目すべきことです。グーグルのデータセンターに収容され

ているサーバーの総数は300万台を超えているという報道があります。このような状

態に日本の産業や政策がどう対処するかということは重要な課題です。

 

都丸敬介(2009.9.28)

なんでもマルチメディア(611):拡張現実

今年(2009年)になってから、新聞や雑誌で拡張現実(AR)関係の記事が頻繁に目

につくようになりました。オーソライズされた定義は不明ですが、一般的な拡張現実

の意味は「現実の映像にコンピューターで情報を付加して合成表示することによっ

て、表現する情報を拡張すること」です。

 

 1990年代に発達した仮想現実(VR)でも現実の映像と人工的な映像の合成が行われ

ています。このためか、VRARの区別が判然としない解説も見られます。VRARの基

本的な違いは、現実情報と仮想情報の比率の差にあるという指摘があります。VRは仮

想情報の割合が支配的に大きいが、ARは現実情報が主体であるということです。

 

 ARの代表的なデモンストレーション例として、携帯電話のカメラを特定の建物に向

けると、その建物の名前や番地、入居者の名称などの情報が映像に重ねて表示される

というのがあります。専用のメガネをかけて街中の看板を見ると、看板には表示され

ていない情報が付加的に表示されるというのもあります。

 

 AR技術の応用研究がこれから広い分野で進むと思われますが、多くの人の日常生活

に密着した利便性の向上に役立つことを期待します。たとえば、家電製品の取扱説明

書を見なくても、専用メガネをかけて、操作しようとする箇所を見ると、操作方法が

わかるといったことです。家電製品ごとに付いているリモコンを、メーカーに関係な

1種類の万能的なものにする研究と技術の標準化にもAR技術を生かせるのではない

かと考えます。

 

都丸敬介(2009.9.22)

なんでもマルチメディア(610):カナダの紅葉

紅葉の季節になりました。

 

 私が代表を務めているボランティア活動のシニアパソコン教室では、すでに終了し

た受講者を含めて、受講者とスタッフをメンバーとするメーリングリスト(ML)を

使って情報交流を行っています。

 

 私は今年の3月から、このMLに、「話の種」というタイトルで、1ページにまとめ

た写真入り旅行記を書いて配っています。今回は昨日配った「カナダの紅葉」の文書

を添付ファイルで送ります。
Autumnal leaves in canada .doc

 

 受講者の皆さんも楽しみにしていて、取り上げた話題についての思い出話をたくさ

ん頂いています。

 

都丸敬介(2009.9.7)

なんでもマルチメディア(609):クラウド・コンピューティング

昨年(2008年)から新聞やコンピューター関係の雑誌などで取り上げられることが

多くなった「クラウド・コンピューティング」の具体的な利用例が見え始めてきまし

た。

 これは米グーグルのシュミットCEOが提唱した、インターネットを介してコン

ピューターのアプリケーション機能や機器を利用するサービスで、いわゆるネット

ワーク・コンピューティングと同じ概念といえます。ネットワークを図形表現すると

きに雲の形で描くことからこの言葉が生まれたとされています。

 いくつかの有力企業が推進しているクラウド・コンピューティング・サービスは、

いずれもデータ処理機能提供サービスです。サービス提供事業者のコンピューター

(サーバー)の中にあるアプリケーション・プログラムをユーザー端末から遠隔利用

することで、ユーザー端末にはアプリケーション・プログラムを実装する必要がなく

なります。これはSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)と同じことです。

 初期の段階で提供されるサービスは、文書作成や表計算、プレゼンテーションと

いった、パソコンのオフィス・ソフトで実現されている機能です。これらの機能を実

現するソフトウエアは機能追加や修正が頻繁に行われているので、ユーザー端末から

削除できることは、企業の情報システム担当者の負担を大幅に減らす効果がありま

す。

 しかし、個人のパソコンユーザーが利用しているアプリケーション・プログラムは

種類が多いので、クラウド・コンピューティングを個人ユーザーに浸透させるために

は多くの課題があります。この分野の知恵比べが活発になってきました。

都丸敬介(2009.8.30)

なんでもマルチメディア(608):次世代のインターネット

インターネットのルーツとされる世界最初のパケット交換ネットワークが稼働した

のが1969年、現在のインターネットの基幹技術であるIP(インターネット・プロトコ

)が導入されたのが1983年、商用インターネットサービスが世界的に広がったのが

1990年代前半、というインターネットの歴史を背景に、次世代のインターネットの議

論が活発になってきました。

 

 IEEE(米国電気電子学会)の通信関係の学会誌「IEEEコミュニケーションズ・マガジ

ン」の20097月号に「将来のインターネット=コンテンツ+サービス+管理」とい

う論文がありました。この論文の中心は、将来のサービスに対する要件と、それを実

現するために考慮すべきことの指摘です。飛躍的な発想は見あたりませんが、イン

ターネットを利用する個人を中心とするサービスの拡大を重視しています。「あらゆ

る個人データがインターネットの中に蓄積される、そして、個人が情報提供者にな

る。こうなるとサービスの節度が重要なテーマになり、プライバシーやセキュリ

ティ、ユーザーの信頼といった、ネットワーク管理面の機能が差別化と収益に大きく

影響する」という内容です。

 

 この論文を読みながら、英国の作家ジョージ・オーウェルが1948年に書いた小説

1984年」を思い出しました。

 今でも個人情報をインターネットに蓄積し、その情報にもっとも大きな関わりをも

つ当事者の手元には何も残っていないという現象が起きています。当事者の手から離

れた情報が巨大なゴミになって人類共通のインターネット資源の中に堆積するという

状態をどう考えるのか、という議論も必要です。

 

都丸敬介(2009.8.16)

なんでもマルチメディア(607):官僚たちの夏

 TBS9時の日曜劇場という1時間番組で、7月から城山三郎さん原作の「官僚たちの

夏」という連続ドラマを放送しています。昨日(82日)の内容は、1960年頃の日本

のコンピューター産業の育成が主題だったので興味深く見ましたが、後味がよくあり

ませんでした。

 

 事実に基づいた作品だといっても、ドラマですから、どの部分に焦点を合わせるか

によって、内容が偏るのはやむを得ませんが、当時の日本の技術力を過小に表現した

という印象を強く感じました。

 

 1960年に私が所属していたNTTの研究室では、すでに国産のコンピューターが稼働

していました。そして、コンピューターの研究開発が精力的に行われていました。米

国のトップレベルの製品と比較すると、国産コンピューターの性能は劣っていました

が、商品化は進んでいたのです。こうした技術の積み上げと人材育成があったからこ

そ、1970年代には米国のコンピューターと競争できる国産コンピューターが実用に

なったのです。コンピューター産業とは直接的な関係はありませんが、日本情報処理

学会が日本側の窓口になった日米コンピューター会議という日米合同研究会が、1970

年代に何度か開かれました。

 

 その後、1980年代には国産の基本ソフト(OS)が日米の貿易摩擦問題に引き込まれ

て犠牲になるという出来事がありました。このとき官僚たちがどのような駆け引きを

したのか、その功罪を明らかにするドラマがあってもよいのではないでしょうか。

 

都丸敬介(2009.8.3