インターネットのルーツとされる世界最初のパケット交換ネットワークが稼働した
のが1969年、現在のインターネットの基幹技術であるIP(インターネット・プロトコ
ル)が導入されたのが1983年、商用インターネットサービスが世界的に広がったのが
1990年代前半、というインターネットの歴史を背景に、次世代のインターネットの議
論が活発になってきました。
IEEE(米国電気電子学会)の通信関係の学会誌「IEEEコミュニケーションズ・マガジ
ン」の2009年7月号に「将来のインターネット=コンテンツ+サービス+管理」とい
う論文がありました。この論文の中心は、将来のサービスに対する要件と、それを実
現するために考慮すべきことの指摘です。飛躍的な発想は見あたりませんが、イン
ターネットを利用する個人を中心とするサービスの拡大を重視しています。「あらゆ
る個人データがインターネットの中に蓄積される、そして、個人が情報提供者にな
る。こうなるとサービスの節度が重要なテーマになり、プライバシーやセキュリ
ティ、ユーザーの信頼といった、ネットワーク管理面の機能が差別化と収益に大きく
影響する」という内容です。
この論文を読みながら、英国の作家ジョージ・オーウェルが1948年に書いた小説
「1984年」を思い出しました。
今でも個人情報をインターネットに蓄積し、その情報にもっとも大きな関わりをも
つ当事者の手元には何も残っていないという現象が起きています。当事者の手から離
れた情報が巨大なゴミになって人類共通のインターネット資源の中に堆積するという
状態をどう考えるのか、という議論も必要です。
都丸敬介(2009.8.16)
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