TBS夜9時の日曜劇場という1時間番組で、7月から城山三郎さん原作の「官僚たちの
夏」という連続ドラマを放送しています。昨日(8月2日)の内容は、1960年頃の日本
のコンピューター産業の育成が主題だったので興味深く見ましたが、後味がよくあり
ませんでした。
事実に基づいた作品だといっても、ドラマですから、どの部分に焦点を合わせるか
によって、内容が偏るのはやむを得ませんが、当時の日本の技術力を過小に表現した
という印象を強く感じました。
1960年に私が所属していたNTTの研究室では、すでに国産のコンピューターが稼働
していました。そして、コンピューターの研究開発が精力的に行われていました。米
国のトップレベルの製品と比較すると、国産コンピューターの性能は劣っていました
が、商品化は進んでいたのです。こうした技術の積み上げと人材育成があったからこ
そ、1970年代には米国のコンピューターと競争できる国産コンピューターが実用に
なったのです。コンピューター産業とは直接的な関係はありませんが、日本情報処理
学会が日本側の窓口になった日米コンピューター会議という日米合同研究会が、1970
年代に何度か開かれました。
その後、1980年代には国産の基本ソフト(OS)が日米の貿易摩擦問題に引き込まれ
て犠牲になるという出来事がありました。このとき官僚たちがどのような駆け引きを
したのか、その功罪を明らかにするドラマがあってもよいのではないでしょうか。
都丸敬介(2009.8.3)
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