西部劇映画を始めとする、アメリカの多くの映画のロケ地として有名な、アリゾナ州のモニュメントバレー(写真1)を中心とする、半径230kmほどの巨大な円がグランドサークルと呼ばれています。この円の中には、八つの国立公園と、16の国定公園が含まれています。先週、この中のザイオン国立公園、ブライスキャニオン国立公園、グランドキャニオン国立公園、レインボーブリッジ国定公園、モニュメントバレーを回ってきました。グランドキャニオンは有名ですが、ザイオンやブライスキャニオンも、それぞれに違った個性を備えた山岳地帯で、スケールの大きさに圧倒されました。

ザイオンの目玉は、世界最大級の一枚岩という高さ700mの岩山です。ほとんど垂直に感じられる岩壁は、日本では見られない迫力があります。ブライスキャニオン(写真2)は何百もの巨大な岩の塔がひしめいています。この塔は岩盤が削られてできたものなので、車を降りたところの展望台からは全体を見下ろすかたちになります。第一印象は、中国・西安にある秦の始皇帝が造った兵馬俑とそっくりだということでした。岩の間を百数十m下の川まで下り、巨大な塔を見上げながら、降りた高さだけ上るのはかなりきつい運動でしたが、赤い岩肌と濃紺の空のすばらしいコントラストを楽しむことができました。グランドキャニオンでは目の前を悠然と舞うコンドルを見ました。

グランドキャニオンから国際線の出発点のラスベガスに戻る途中、セドナという、軽井沢に似た観光地に泊まりました。付近には、アメリカインディアンの遺跡や、ボルテックスという強い地磁気が渦巻いている場所があります。自然の不思議を改めて体験しました。
都丸敬介(2006.05.29)
月: 2006年5月
なんでもマルチメディア(461):交通博物館
東京・神田の交通博物館が今日(2006年5月14日)で閉館になるという、朝のテレビ・ニュースを見て、また一つの時代の転換を感じました。20世紀の産業の発展を支えた重要な社会基盤の一つが鉄道であることはいうまでもありません。そして、現在も多くの国で高速鉄道の建設が進んでいます。
交通博物館は秋葉原の電気街の一部といってもよい場所にあるので、1970年代までは、秋葉原に行ったついでにときどき見学に行きました。その後は足が遠のきましたが、何時行っても、子供たちが眼を輝かせて展示品や模型を楽しんでいた光景を思い出します。交通博物館に通った子供たちの中から多くのエンジニアが育ったことでしょう。
海外の交通博物館では、イギリスのバーミンガム鉄道博物館(現在のタイズリー機関車工場ビジター・センター)が印象に残っています。19世紀から20世紀初期にかけて世界の鉄道技術をリードしたイギリスの鉄道車両が保存されています。ここに行ったのはかなり前のことなので、記憶が不鮮明ですが、巨大な機関車の迫力に圧倒されたことを覚えています。
今日閉館する交通博物館は、2007年度に新しい鉄道博物館として、さいたま市にお目見えするということです。新博物館は、敷地がこれまでの8.5倍あり、展示床面積も広くなるようなので、高齢者にも楽しめる新しいテーマパークになることを期待します。
都丸敬介(2006.05.14)
なんでもマルチメディア(460):ディジタル・シネマ
映画の制作から、配信、上映までの全工程をディジタル化した「ディジタル・シネマ」が、ようやく実用の段階に達したようです。2004年10月に開催された第17回東京国際映画祭でデモンストレーションが行われた後、2005年にはハリウッドのメジャー映画制作スタジオの標準技術仕様DCI (Digital Cinema Initiatives)標準が発表されました。
ディジタル・シネマの規格には、画素数800万(横4,096×縦2,160)の4Kと、画素数200万(横2,048×縦1,080)の2Kの2種類があり、DCI標準には4K規格が採用されたということです。この解像度はハイビジョンよりもはるかに高精細です。
技術面では映像情報のセキュリティ保護機能が注目されます。不正コピー防止のために、映像情報データを暗号化して映画館に配信し、上映装置で復号する仕掛になっています。暗号化したデータを復号するのに必要な暗号鍵の配送にも暗号技術を使っているので、不正コピーは非常に難しいようです。また、上映中の映像盗撮対策として,盗撮が行われた時刻と場所を特定できる電子透かしを埋め込む技術の開発が進んでいることが報告されています。
データ量が多いので、映像情報の最大ビット速度は250Mビット/秒と高速ですが、高速光ファイバー・ネットワークの普及によって、新作映画配信の体制や映画産業が大きな転換期を迎えたようです。
都丸敬介(2006.05.07)
なんでもマルチメディア(459):ダ・ヴィンチ・コードの暗号
2003年に出版されて世界的なベストセラーになった、ダン・ブラウン著「ダ・ヴィンチ・コード」が、いろいろな話題を提供しています。「主題はキリスト教の聖杯伝説を背景にした、現代的なアクションドラマであり、暗号解読が重要な伏線になっている」というのが私の感想です。
この小説で使っている暗号は、文字遊びの一つですが、それだけに感覚的に親しみを持てます。ただし、暗号の鍵にフィボナッチ数列という古典的な数列を使っているところがスマートです。
この小説を盗作だとする著作権侵害訴訟を担当した裁判官が、小説の中で使われている暗号方式を使って、裁判とは関係がない字句を判決文の中に埋め込んだことが分かって、英国の新聞をにぎわせたということです。目くじらを立てる人がいるかもしれませんが、ぎすぎすした今の時代では、こうしたユーモアは楽しいです。
日本の旅行会社が、この小説の舞台になった場所を訪ねるツアーを企画して発売しました。小説の冒頭で殺人事件が起こったパリのルーブル美術館や、後半の舞台になったロンドンのあたりを回るようです。このツアーにはレオナルド・ダ・ヴィンチゆかりのイタリアは入っていないようですが、ミラノにあるレオナルド・ダ・ヴィンチ科学技術博物館にまた行ってみたくなりました。
都丸敬介(2006.05.02)
ダビンチコード(上下)