昨年(2008年)から新聞やコンピューター関係の雑誌などで取り上げられることが
多くなった「クラウド・コンピューティング」の具体的な利用例が見え始めてきまし
た。
これは米グーグルのシュミットCEOが提唱した、インターネットを介してコン
ピューターのアプリケーション機能や機器を利用するサービスで、いわゆるネット
ワーク・コンピューティングと同じ概念といえます。ネットワークを図形表現すると
きに雲の形で描くことからこの言葉が生まれたとされています。
いくつかの有力企業が推進しているクラウド・コンピューティング・サービスは、
いずれもデータ処理機能提供サービスです。サービス提供事業者のコンピューター
(サーバー)の中にあるアプリケーション・プログラムをユーザー端末から遠隔利用
することで、ユーザー端末にはアプリケーション・プログラムを実装する必要がなく
なります。これはSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)と同じことです。
初期の段階で提供されるサービスは、文書作成や表計算、プレゼンテーションと
いった、パソコンのオフィス・ソフトで実現されている機能です。これらの機能を実
現するソフトウエアは機能追加や修正が頻繁に行われているので、ユーザー端末から
削除できることは、企業の情報システム担当者の負担を大幅に減らす効果がありま
す。
しかし、個人のパソコンユーザーが利用しているアプリケーション・プログラムは
種類が多いので、クラウド・コンピューティングを個人ユーザーに浸透させるために
は多くの課題があります。この分野の知恵比べが活発になってきました。
都丸敬介(2009.8.30)