なんでもマルチメディア(600):家庭用蓄電設備

1980年代に訪問したフィンランドの知人の家には、普通の浴室のほかにサウナの設

備がありました。このサウナは電熱式自動制御の近代的な設備です。この家には、夜

間の安い電力を利用する、経済的な蓄熱式の床下暖房設備もありました。電力を熱に

変えて蓄積するのではなく、電気のまま蓄積する家庭用蓄電設備は、地球温暖化対策

や家庭生活の安全対策の手段として普及が進み、大きな産業に発展する可能性があり

ます。

 

 政府が家庭用太陽光発電設備の普及に力を入れ、余剰電力を電力会社が買い上げる

仕掛けの検討もかなり進んでいますが、安全で容量が大きい家庭用蓄電設備があれ

ば、余剰電力を電力会社に売らなくても、自宅で効果的に使えます。

 

 企業の情報通信システムの多くは、停電対策として、電池によるバックアップ電源

設備を用意しています。銅線ケーブルを使っている従来の固定電話では、電話交換局

から電話機に電力が供給されているので、停電になっても電話を使えます。けれど

も、光ファイバー・ケーブルや無線回線を使う場合は、ユーザー宅内の通信機器の動

作に必要な電力は商用電源から供給されます。したがって、停電になると電話も止ま

ります。個々の通信機器に充電式電池を組み込む方法もありますが、いろいろな機器

で共通に使える蓄電設備を用意するほうが、総合的に見ると好ましいといえます。

 

 電気自動車の普及が加速していますが、自動車で使う電池は劣化が激しいことか

ら、劣化した電池を家庭用にまわす2次使用の研究が進んでいるようです(日経エレ

クトロニクス、2009年5月4日号参照)。

 

都丸敬介(2009.5.30

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