数年前から研究開発と標準化が行われてきた、2種類の高速無線通信技術を利用す
るサービスが実用になりました。1つは携帯電話系のLTE(ロングターム・エボ
リューション)で、もう1つはWiMAXです。
LTEは3.9世代携帯電話と呼ばれるもので、理論的な最大通信速度は300Mビット/秒
です。複数の種類がある既存の3.5世代携帯電話からの移行が比較的容易にできると
いうことで、携帯電話の規格統一にも効果が期待できます。
WiMAXは無線LANの規格で、理論的な最大通信速度は75Mビット/秒です。モバイル
WiMAXと呼ばれるIEEE802.16e-2005規格には、携帯電話と同様に、ユーザーが通信を
しながら移動するときに、アクセスポイント(無線基地局)を自動的に切り替えるハ
ンドオーバー機能があります。LTEとモバイルWiMAXの機能的な違いは、多くのユー
ザーにはほとんどわからないでしょう。
LTEとモバイルWiMAXは、性能的にはブロードバンド・アクセス回線のFTTHよりも劣
るけれど、ADSLとは同等です。最近はFWA(固定無線アクセス)という言葉があまり
目につきませんが、LTEやモバイルWiMAXはFWA回線として使えます。つまり、ブロー
ドバンド・アクセス回線の選択肢が増えたのです。FMC(固定・移動通信融合)が進
んでいますが、ユーザーにとって理想的なFMCサービスを実現するために、FTTHを補
完するLTEあるいはモバイルWiMAX事業のありがたが新しい課題になります。
都丸敬介(2009.5.12)