今年頂戴した年賀状の中に、海外旅行の写真や体験談がかなりありました。同年代の友人と共有できる情報が増え続けるのは楽しいことです。このメールを配送しているハンドレッドクラブのメーリングリストを利用して、ハンドレッドクラブの会員の皆さんからも、海外旅行のことや身近なできごとのお話を聞かせて頂きたいと願います。
昨夜のテレビで放映された、1977年に制作された「007私を愛したスパイ」を見ていて、ライトアップされたスフィンクスがエジプト古代史を語る場面や、カルナック神殿の巨大な石柱群がロケの道具に使われていたことを思い出しました。カルナック神殿はアガサ・クリスティー原作の「ナイルに死す」の映画の中にも出てきます。
夜、スフィンクスの前の広場に並べられた椅子に座して、エジプト古代史のショーを見たことがあります。足下から伝わってくる寒さに耐えられなくなり、大半の観客はショーの途中で引き上げていきました。翌日の昼間、改めてスフィンクスの写真を撮りに行ったときは焼けるような暑さで、砂漠の温度差の激しさを実感しました。
当たり前のことですが、海外旅行の楽しさは体調に大きく左右されます。旅行先で同年代の70代の人と知り合うことがときどきありますが、みな元気です。それでも話を聞くと、大病を患って回復に努力したという人が少なくありません。海外旅行を楽しみたいという目的のために体調を整えることは、日常生活にもプラスになることです。
今年はどこに行こうかと考えながら体を動かしています。
都丸敬介(2007.1.22)
なんでもマルチメディア(494):企業の技術力
新年早々、米アップルが新製品の携帯電話「iPhone」を発表して話題になっています。解説を見ると、携帯電話機の大きさの汎用的な情報通信端末といった感じです。同時に社名を従来のアップルコンピューターからアップルに変えたことに、パソコンメーカーから変身した意気込みが感じられます。
マイクロソフトのウインドウズ95を初めて使ったときに、ようやくアップルに近づいてきたという印象をもちました。それから10年以上経って発売されたウインドウズ・ビスタが注目されていますが、まだアップルを追い越す状態にはなっていないようです。
米国の2006年の年間取得特許件数ランキングを見ると、マイクロソフトが12位に入っていますが、アップルは20位以内に入っていません。日本企業は20位以内に9社が入っていますが、インターネットの構成機器のトップ企業である米シスコ・システムズは入っていません。世界有数の研究所をもっている通信事業者も20位以内には1社も入っていません。
特許取得件数が企業の技術力の評価指標に使われることがよくありますが、特許には、製品として利益を生み出す攻撃的な特許と、製品に反映する予定がない防衛的な特許があります。出願件数や取得件数が多い企業の特許には、防衛的な特許が多く含まれる傾向があります。特許の出願や登録された特許の維持にはかなり大きなコストがかかりますが、取得した特許を企業の利益に活かすのは簡単なことではありません。特許取得件数ランキングの上位に入っていない企業の特許戦略には興味があります。
都丸敬介(2007.1.15)
なんでもマルチメディア(493):NGNへの期待
昨年(2006年)11月、NTTがNGN(次世代ネットワーク)の現場試験(フィールド・トライアル)を始めました。この試験開始の数ヶ月前から情報通信関係の雑誌や学会誌でNGN関係の記事が目立ち始め、単行本もいくつか出版されました。
NGNの基礎はブロードバンドIPネットワークです。ある新聞で、「NGNに熱心なのは日本とヨーロッパの一部の通信事業者だけであり、米国ではほとんど関心がない」という趣旨の記事を見たことがありますが、1980年代に実用になったISDNでも同じようなことがありました。
NGNが産業や社会生活にもたらす影響はISDNよりもはるかに大きく、これによって新しい時代が始まると考えられます。NGNは1980年代から行われてきた多くの研究開発と失敗を含む経験の集大成といえます。「ブロードバンドIPネットワークは、ADSLやFTTHといった高速アクセス回線を使うインターネットとして、すでに実現されているではないか」という人もいますが、NGNに対する大きな期待はサービス品質保証が加わることです。現代社会を支える情報通信基盤あるいは情報流通基盤には、災害や異常事態が発生したときの堅牢性とサービス品質の保証が求められます。携帯電話やインターネットの発展の陰で衰退が進む固定電話の大きな長所は堅牢性とサービス品質保証です。
NGNの技術を見ると、インターネットの弱点を解決することに力を入れていることが分かります。NGNの本格的な普及が進むとされている2010年にどのような状態になるのか、結果を見るのが楽しみです。
都丸敬介(2007.1.8)
なんでもマルチメディア(492):年末年始の音
平成19年(2007年)が穏やかに始まりました。明けましておめでとうございます。
毎年のことなのに、昨夜の除夜の鐘の音と、それに重なる、新年を祝う汽笛や花火の音がいつもよりも鮮明に聞こえました。
私の家から直線距離で1kmばかりのところに、724年創建といわれる、神武寺という天台宗のお寺があります。逗子湾と東京湾の間に横たわる丘陵の高い場所にあるお寺なので、ここの鐘の音は家にいても良く聞こえるのですが、昨夜はほかにも3種類の鐘の音が聞こえました。
新しい年が始まった0時には、ヴオーという船の汽笛が一斉に聞こえてきました。どこにいる船かは分かりませんが、東京湾の追浜か八景島のあたりではないかと思います。花火の音は東京湾側だけでなく、逗子湾側からも聞こえてきました。夏の花火大会は、葉山、逗子、鎌倉と、開催日が違うので、それぞれの場所からの音の違いが分かりますが、一斉に打ち上げられた花火の音は、夢うつつの状態では聞き分けられません。
現役時代、家族で米国オーランドのディズニーワールドに新年のカウントダウンを見に行ったことがあります。12月29日に行き、ディズニーワールドの中のホテルに泊まったのですが、29日と30日の両日ともに、ディズニーワールドが閉園になった午後11時頃から盛大な花火のリハーサルが始まったのには驚きました。ベッドに寝ころんでリハーサルの花火を堪能した後、大晦日の夜は大きな池の畔で寒さに震えながら大騒ぎを見物しました。
平穏に新年を迎えられる時代が続くことを祈ります。
都丸敬介(2006.12.17)
なんでもマルチメディア(491):柿
晩秋の果物の中で、毎年楽しんでいるものの一つに、会津見不知(みしらず)柿があります。アルコールで渋抜きした上品な甘さの渋柿で、歯触りが滑らかであり、日がたつと口の中でとろけるようになります。昔から会津地方で作られていたということですが、10年ほど前に知人から頂戴してとりこになってしまいました。知人の話では、どこの家のどの木の柿が美味しいという、フランスワインの名産地のような選択肢があるということです。9月頃予約をしておくと11月中旬に送られてきます。
干し柿を多くの写真家が題材にしていますが、インターネットで調べると、あんぽ柿の名産地が全国の各地にあります。変わったあんぽ柿に、郡山市の菓子屋さんが作っている、季節限定商品にこの名の菓子があります。肉厚の干し柿のなかに、甘みを抑えた黄身餡を詰めたものです。10年以上前に、新幹線・郡山駅の改札口を出たところにある特産品の売店で見つけて気に入りましたが、その後は目に付かず、季節限定品だと知ったのはかなりたってからでした。今ではインターネットのオンラインショッピングで購入できます。
インターネットで探せばいろいろなものが見つかる時代になりましたが、旅先で偶然に出会って気に入ったものをその産地から直接手に入れると、格別の思いが加わります。そのためには歩き回らなければなりません。これからも偶然の出会いがあることを期待しています。
都丸敬介(2006.12.17)
なんでもマルチメディア(490):グーグルマップ
久しぶりにグーグルマップ(google maps)で我が家の航空写真を見たところ、以前の写真とはすっかり変わって鮮明になっていたので感激しました。グーグルマップはインターネットのポータルサイトとして躍進を続けているグーグルが無償提供している地図情報で、航空写真だけでなく、航空写真と地図を重ねた画像も見られます。初期画面の検索欄に住所の番地まで入力して検索すると、駐車場に停まっている車の形や色まではっきりと分かります。面白半分に親戚や知人の住所を入力してみると、いろいろな発見があります。
インターネットのおもなポータルサイトが、それぞれに地図情報を提供していて、目当ての場所にたどり着くまでの操作にも工夫が見られます。グー(goo)の地図では、住所を直接入力して目当ての場所を指定できますが、県名から始まる住所を、表示される選択候補の中から1項目ずつ順番に指定することもできます。これは未知の場所を探すのに案外便利です。
グーグルマップでは世界中の航空写真が見られるので、旅行した場所やこれから行ってみたい場所の様子をかなり実感できます。フランスのモンサンミシェルは、海の中にあるので簡単に見つかりましたが、エジプトのギザのピラミッドは砂漠の中なのでなかなか見つかりませんでした。
都丸敬介(2006.12.11)
なんでもマルチメディア(489):コンピューターウイルス
コンピューターウイルスに感染するというのはどういうことなのか」、「ウイルスに感染したことはどうして分かるのか」、「ウイルス対策ソフトをパソコンに組み込んだところ、パソコンの動作がおかしくなった」、「インターネット事業者の迷惑メール防止サービスを申し込んだところ、警告メッセージが送られてくるが意味が分からない」といった相談を受けることがときどきあります。
テレビや新聞でコンピューターウイルスの被害やインターネット犯罪が報道されることが多くなったにも関わらず、冒頭の疑問に答えるような啓蒙的な説明がほとんどありません。一口にコンピューターウイルスといっても、その種類は万のオーダーに達していて、もたらす影響や被害の状態はさまざまです。
JIS情報処理用語ではウイルスを,「自分自身の複写,又は自分自身を変更した複写を他のプログラムに組み込むことによって繁殖し,感染したプログラムを起動すると実行されるプログラム。備考:ウイルスには被害や迷惑を与えるものが多く,あらかじめ決められた日付などの事象によって起動されることがある」と定義しています。このように、専門家はウイルスの要件を規定していますが、一般にはこの定義に当てはまらないプログラムや不正行為との区別はつきません。
セキュリティー対策ソフトウェアやサービス事業者のセキュリティーサービスは、それぞれに効果がありますが、広い意味のウイルスに感染しないため、あるいはネットワーク犯罪の被害者にならないための啓蒙活動の拡大が必要です。
都丸敬介(2006.12.04)
なんでもマルチメディア(488):モンゴルの祭典
堺屋太一氏が日本経済新聞に連載している「世界を創った男:チンギス・ハン」の今朝(2006年11月27日)の掲載部分に、モンゴルの夏の祭典「ナーダム祭」と同じシーンが描かれていました。書かれていることが史実のとおりだとすると、現在の祭典の原型が800年前に遡ることになります。これは大変なことです。
このときの競馬の「六馬行程(36キロ)を駆け抜ける長距離レースだ。出場者は十歳から十五歳までの少年少女(原文のまま)」という記述は、現在のナーダム祭の競馬と同じです。現在の競馬が故事を再現したのかもしれませんが、このスケールが大きいイベントを実行できる環境が保たれているのは素晴らしいことです。
ゴールの近くに陣取って待つこと1時間ばかり、草原の遙か彼方にかすかな砂埃が見えてから、しばらくして目の前を馬が駆け抜ける情景を、機会があればもう一度味わいたいと思います。
「少年力士百人ほどが入場する。祭は例年通り少年相撲から成人相撲へと進む(原文のまま)」という記述にあるモンゴル相撲の伝統が、日本の大相撲でのモンゴル力士の活躍につながっているのかと考えると、おおらかな気持ちになります。
未知の国に旅行に出かけると物珍しさが先に立ちますが、モンゴルではなぜか懐かしさを感じました。同じような感覚を東南アジアのいくつかの場所でも体験しました。
都丸敬介(2006.11.27)
なんでもマルチメディア(487):ミャンマーの供養
なんでもマルチメディア(487):ミャンマーの供養
今年も年末が近づき、喪中欠礼のはがきを何通か受け取りました。今年ミャンマー旅行をしたときに、ガイドさんに他界した人たちの供養をどのようにしているのか質問したところ、意外な説明を受けました。
ミャンマーは敬虔な仏教国ですが、墓も家の仏壇ないというのです。葬式が終わって遺灰を散布した時点で、亡くなった人とは完全に別れてしまい、その後の供養は行わないというのです。このような習わしが全国的なことなのか、隣接している仏教国ではどうなのか、といったことを調べてないので、これ以上の情報はありませんが、興味深いことです。
これと対称的なのがインドネシアのバリ島です。バリ島にはイスラム教徒に追われて逃げ込んだヒンズー教徒が、長年の鎖国時代に作り上げた習慣が根付いていて、どこの家にも祖先を祭る祠があり、毎日食べ物や花が供えられています。
日頃はあまり気にしていないことでも、旅先で未知の文化や生活習慣に出会うと強い印象を受けます。これが海外旅行の大きな楽しみです。だからといって、旅行に出かける前に旅先のことをいろいろ調べているわけではありません。ミャンマーやバリ島の見聞を思い出しながら、次はどこに行こうかと考えています。
都丸敬介(2006.11.20)
なんでもマルチメディア(486):ビジネスモデル教育
理工系の大学生を対象とする、ビジネスモデル教育に取り組んでいる友人がいます。ビジネスモデルの教育といっても、モデルそのものよりもモデルの作り方に重点を置いているようです。
ビジネスモデルの着想が良くても、それを実行するのに必要なコンピューターシステムを短期間に実現できないために、モデルが願望で終わってしまうことがあります。長年実務で苦労してきた人たち、とくに中小企業の経営者の多くはいろいろなアイデアや夢を持っています。しかし、情報通信技術(ICT)の知識や利用経験が乏しいために、アイデアを思うように実現できないで悩んでいる人が少なくありません。
ICTの基礎知識を学習している若い人たちが、在学中に実業を疑似体験するのは良いことです。私事ですが、10年ほど前の一時期、会社の仕事のかたわら、頼まれて大学の情報工学の講座をもったことがあります。期末試験の代わりに「大学で学習していることを、社会人になったときにどのように活かしたいと考えるか」という趣旨のリポートを提出させたことがあります。このとき多くの学生が「このようなことを考えたことが一度もなかった。自分を見つめることができた。」と書き記していました。
ビジネスモデルを作り、それを実現するためには、経験に裏打ちされた感覚的な要素と、モデルの妥当性を裏付ける論理的な要素のバランスが大切です。こうしたことを学校教育でどこまでできるのか、友人たちの活動の成果を楽しみにしています。
都丸敬介(2006.11.13)