5年ほど前、あるセミナーでNTTドコモの幹部が「現在のARPU(1ユーザー当たりの平均収入)は8千円程度であり、これを1万円にもっていくのが最大の重点課題だ」という主旨の講演をしたのを聴いたことがあります。
最近目にした、携帯電話大手3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル)のARPUの推移を見ると、各社共に2002年度から2006年度にかけてARPUの減少が続いています。2002年度には8千円を上回っていたNTTドコモのARPUは2006年度には約7千円に低下しています。KDDIの値はNTTドコモと同程度ですが、ソフトバンクモバイルの2006年度の値は6千円程度です。
ARPUは平均値ですから、この値だけではユーザーの状況はほとんど分かりません。手元にデータがないので正確ではありませんが、1980年代中頃のNTTの電話サービスのARPUは7千円程度であり、平均値以上の使用料を払っているユーザー数が25%程度だったと記憶しています。つまり、25%のユーザーが残りの75%のユーザーを支えることで、全国的な電話サービス事業が成り立っていたということになります。
携帯電話ユーザー数の増加が続いているけれどもARPUは低下している、そして固定電話ユーザー数の減少が続いているという状況を背景にして、情報通信サービス事業者がARPUの改善にどう取り組むのか、願望ではなく具体策に興味があります。
都丸敬介(2007.12.25)
月: 2007年12月
なんでもマルチメディア(533):バリ島
インドネシアのバリ島で開かれていた、地球温暖化防止を話し合う国際会議COP13が終わりました。この会議の開催地としてなぜバリ島が撰ばれたのか知りませんが、この島の豊かな自然環境自体がいつまでも保たれることを願わずにはいられません。
学生時代に手に入れた、昭和12年発行の「東印度諸島の怪奇と芸術」という本を読んだときから、いつかは行ってみたいと思っていたバリ島に、1980年代から90年代にかけて国際会議や家族旅行で何度か行きました。
最初に行ったのは、技術セミナーの講師を頼まれたときでした。そのとき滞在したのは、第2次世界大戦の賠償として日本が建設したホテルでした。まだ、ホテルの外には土産物屋がなかった頃ですが、豊かな自然と伝統的なヒンズー文化を堪能できました。その後は、訪れるたびに急速に進む観光地化を実感しましたが、自然と歴史を背景にした文化は簡単には変わりません。
ガイドブックにも書かれていますが、インド洋に面した海岸の夕日は感動的です。旅行会社に頼んで、夕日を見るのに適したホテルの部屋をとってもらったことがあります。何もしないで夕日を見ているのは最高の贅沢の一つかもしれません。我が家の玄関には、羽を広げたガルーダを頭に乗せた少女の、黒檀の置物があります。これを見るとバリ島を思い出します。ガルーダはインドネシアのシンボルです。
都丸敬介(2007.12.16)
なんでもマルチメディア(532):人体通信
今日(2007年12月9日)の日本経済新聞第1面に「人体通信 実用化へ」という見出しの記事がありました。人体を通して電気通信の信号を伝える人体通信の研究は1990年代から行われていて、2004年にはこの技術を応用した製品が発売されています。これまでに発表された人体通信技術には複数の異なる方式があり、いろいろな応用分野が考えられていますが、まだ応用製品が普及する状態にはなっていないようです。
人体通信は人の手や体の一部が触れることでデータを伝える近距離通信です。この分野では、無線通信技術を利用するBAN(ボディ・エリア・ネットワーク)の研究開発も行われています。利用面からみた近距離無線通信と人体通信の大きな違いは、人体通信は情報漏洩の危険が非常に小さいことです。情報の送り手と受け手が握手をするだけで正確な情報が伝えられ、その内容が第3者に漏れることがないといった、スパイ小説に出てくるようなことが可能です。
情報漏洩に対して安全だということは、外部からの通信妨害の影響を受けにくいということになります。健康の管理や維持のためのデータ収集手段として、身体に付けた超小型無線センサーを利用する技術の開発が以前から行われています。人体通信技術はこの分野で優れた機能を発揮するかもしれません。今後の研究の進展に興味があります。
都丸敬介(2007.12.9)
なんでもマルチメディア(531):名刺
シニア世代のパソコン教室で、名刺の作成をテーマに取り上げてみました。名刺というと業務用のものを連想するためか、現役を引退した人や家庭の主婦が名刺を持つことがほとんどありません。けれども仕事とは関係なく役立つことが少なくありません。
手元の百科事典によると、1560年にヴェネツィアの留学したドイツ人が、帰国の際にお世話になった先生方を訪問し、不在のときは名前を書いた紙片を置いてきたという記録があるということです。このように、初期の名刺は訪問相手が不在のときに置いてくるものだったようです。
グループ旅行に参加すると、後で写真を送るから住所・氏名を書いて下さいと手帳をだされることがよくあります。旅行でなくても、なにかの会合で出会った人たちに自己紹介をすることがあります。このようなときは名刺を持っていると重宝します。
パソコン用の印刷用紙には、A4版1枚に10枚の名刺を印刷でき、印刷後にばらばらに切り離せる厚手のものがあります。パソコンを使うと、文字の形や色、配置などを自由に変えること、写真を入れることなどが簡単にできます。いろいろな種類の名刺を作って、名刺を使うときの状況に応じて使い分けることを提案したところ、あっというまに多くの種類の楽しい作品が生まれました。教室では、市販されている名刺作成ソフトではなく、標準的なワープロソフトを使いました。
余談ですが、写真の名刺判は、19世紀にフランスの写真家が名刺に写真を入れることを考えて特許を取ったときのサイズが、約5.7cm×9.2cmだったことに由来しているということです。
都丸敬介(2007.12.2)