なんでもマルチメディア(636):中国のバーリンホウ

先週、中国のGDPが日本を抜いて世界第2位になったことを、テレビや新聞が繰り返して報道していました。今日(2011124日)の朝日新聞朝刊に付いていた、「朝日新聞グローブ」のバーリンホウ「80后」の特集は中国の新人類の一面を伝える興味深い内容です。「80后」とは1980年代に生まれた人という意味で、約22千万人いるということです。

 記事の最初に紹介された上海で仕事をしている女性は、年収6000万円という、米国の金融ビジネスエリートなみの収入を得ているということです。一方では、大学を卒業しても低収入にあえいでいる若者が多いという、社会的なひずみをこの記事は紹介しています。

 1980年代の初期に、私は情報通信分野の先端技術の講師を頼まれて何度か中国に行きました。その頃の日本の産業や生活と、現在の日本の状況を比べると、20年後の中国の姿は決して楽観できないように思えます。それが日本にどのように影響するのかわかりませんが、私たちも10年〜20年後の国の姿を考えなければなりません。

 「朝日新聞グローブ」の記事は、インターネットでも配信されています。アドレスは「http://www.globe.asahi.com」です。一読をお勧めします。

都丸敬介(2011124)

なんでもマルチメディア(635):エローラの石窟寺院

インドには多数の古い石窟寺院があります。その中で、最高の文化遺産といわれているのがエローラのカイラーサナータ寺院です。エローラは西インド最大の都市ムンバイから約350km東にあるアウランガバードという都市の郊外にあります。
 エローラには34の石窟寺院があり、仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教の3つのグループに分かれています。写真1仏教寺院群です。デカン高原の崖を削って造った石窟であることがよくわかります。
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 写真2と3はエローラ最大のカイラーサナータ寺院(ヒンドゥー教)です。この寺院は崖を横から削ったのではなく、地上から掘り下げて造られたものです。高さ35m、幅60m、奥行き90mの規模は圧倒的な重量感があります。この巨大な彫刻の制作は、クリシュナ1世(在位756年〜775年)の命令で始まり、完成までに100年以上の時間がかかったということです。
この時代にすでに先例や技術があったのでしょうが、全体の設計図がどのようなものであり、どのようにして工事監督や作業者に指示されたのかということはわかりません。写真2や3の構造物が1つの岩としてつながっていることは、実物を見ていると納得できますが信じられません。
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 写真4と5は壁面や寺院の内部にある彫刻の一部です。1つだけでも博物館の目玉展示物になるような彫刻が数えきれないほどあり、それぞれがあるべき場所にあって調和しています。
 カイラーサナータ寺院以外の石窟も、みな規模が大きく、しかも繊細で立派です。
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都丸敬介(2011年1月17日)

なんでもマルチメディア(634):コンテナ型データセンター

インターネットで扱われるデータ量の爆発的な増大や、クラウドコンピューティングサービスの拡大に伴って、IT企業のデータセンターの巨大化が進んでいます。従来のデータセンターは、空調や電源供給、防災、防犯などの設備が整った大きな建物の中に情報通信機器を設置する形態が一般的でしたが、最近はコンテナ型が注目されています。すでに海外では巨大なコンテナ型データセンターが稼働しており、日本国内でも建設が始まっています。

 コンテナ型データセンターは輸送用コンテナの中に多数の小型サーバーを組み込んだものです。コンテナ型情報通信設備は新しい発想ではなく、30年以上も前にNTTがコンテナ型の無人電話交換局を日本全国に設置したことがあります。メーカーの工場でコンテナに組み込んだ電話交換機を組み立てて、そのまま設置場所まで牽引するというものでした。

 現在IT企業がコンテナ型データセンターに注目しているのは、建設や運用面の長所に加えて、大きな省エネ効果の実現です。データセンターなどで、全体の電力消費量を情報通信機器の電力消費量で割った値をPUEpower
usage effectiveness
)といいます。

 日本国内のデータセンターのPUE2.32.5と言われています。空調や照明などの付随的な電力消費量が非常に大きいのです。コンテナ型データセンターは、コンテナを屋外に置く外気冷却方式によって、PUE1.2を実現できるということです。

 日本では、昨年8月に国土交通省がコンテナ型を建築基準法による規制対象から除外したので、国内各地でコンテナ型データセンターの設置計画が進むようです。

都丸敬介(201116)