なんでもマルチメディア(632):FMCからFMBCへ

この小文のタイトルである“マルチメディア”は、1980年代に盛んに使われるようになった言葉です。当時のマルチメディアの具体的な内容は、電話網を利用する音声通信(電話)と画像通信(静止画)およびデータ通信(文字)の融合でした。この時代から20年を経過した現在、ブロードバンド・インターネットを情報流通基盤とするマルチメディアの新たな発展が始まっています。

 その1つがFMC(固定通信と移動体通信の融合)であり、その発展形態としてFMBC(固定通信、移動体通信、および放送の融合)という言葉が生まれました。FMCの具体例として、1つの端末を家の中では固定電話網につなぎ、家の外では携帯電話網につなぐというのがあります。どちらの使い方でも電話番号は変わらないというのが重要なことです。

 携帯端末の機能が発展した現在でもFMCの実現は簡単なことではありません。その理由の1つが高いレベルのサービス品質の維持です。サービス品質にはサービスのアベイラビリティ(可用性、稼働率)や故障率といった、社会基盤としての信頼性にかかわる項目のほかに、体感品質(QoE)という使いやすさにかかわる項目があります。

 最近のパソコンは無線回線接続機能やテレビジョン・チューナーを内蔵している機種が多くなり、インターネットにつなぐだけで、ある程度のFMBCを実現しています。しかし、理想的なFMBCへの道のりはまだ遠いという感じです。

 FMCが社会基盤として本格的に実現する時期やそこにいたるシナリオはまだ見えていません。こうしたことが明確になると、新たな産業の成長が期待できます。

都丸敬介(20101214)

なんでもマルチメディア(631):ネパールの寺院

ネパールの首都カトマンズの中心部から少し外れた丘の上に、ヒマラヤ最古の仏教寺院だというスワヤンブナート寺院があります。(写真1) 境内にはいろいろな様式の塔が雑然とした感じで並んでいます。巨大な真っ白の土まんじゅうの上に乗った、四角形の塔の壁面に描かれた大きな目を見て、ヒマラヤ登山記録によく出てくるチベット仏教の寺院を連想しました。

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 市の中心部のダルバール広場は、多数の王宮や寺院に囲まれている賑やかな場所です。寺院は中国や奈良の仏教寺院に似たものが多く、形も色も落ち着いた木造建築です。どの建物にもすばらしい彫刻があります。あちこちに飼い主がいない野良牛が寝そべっている光景はのどかです。(写真2)

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カトマンズから12kmほど離れた古都バクタブルは、15世紀から18世紀にかけて王国の首都の一つだった町で、多くの寺院があります。ニャタポラ寺院(写真3)は5層の基壇の上に5重の塔がそびえる堂々とした建物です。基壇の正面階段の両脇には5種類の像が並び、下から順番に人から神へとレベルが高まります(写真4)。ネパールは気持ちが落ち着く不思議な国です。

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