インターネットで扱われるデータ量の爆発的な増大や、クラウドコンピューティングサービスの拡大に伴って、IT企業のデータセンターの巨大化が進んでいます。従来のデータセンターは、空調や電源供給、防災、防犯などの設備が整った大きな建物の中に情報通信機器を設置する形態が一般的でしたが、最近はコンテナ型が注目されています。すでに海外では巨大なコンテナ型データセンターが稼働しており、日本国内でも建設が始まっています。
コンテナ型データセンターは輸送用コンテナの中に多数の小型サーバーを組み込んだものです。コンテナ型情報通信設備は新しい発想ではなく、30年以上も前にNTTがコンテナ型の無人電話交換局を日本全国に設置したことがあります。メーカーの工場でコンテナに組み込んだ電話交換機を組み立てて、そのまま設置場所まで牽引するというものでした。
現在IT企業がコンテナ型データセンターに注目しているのは、建設や運用面の長所に加えて、大きな省エネ効果の実現です。データセンターなどで、全体の電力消費量を情報通信機器の電力消費量で割った値をPUE(power
usage effectiveness)といいます。
日本国内のデータセンターのPUEは2.3〜2.5と言われています。空調や照明などの付随的な電力消費量が非常に大きいのです。コンテナ型データセンターは、コンテナを屋外に置く外気冷却方式によって、PUE値1.2を実現できるということです。
日本では、昨年8月に国土交通省がコンテナ型を建築基準法による規制対象から除外したので、国内各地でコンテナ型データセンターの設置計画が進むようです。
都丸敬介(2011年1月6日)
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