今日(2007年10月21日)の日本経済新聞第1面に「NTT光回線3000万件目標、大幅下方修正へ」という見出しの記事がありました。2010年に全国で3000万回線とした、光ファイバー通信回線の普及目標の達成が、これまでの実績では難しいという判断から、目標を下方修正する検討を始めたという内容です。
しかし、「ブロードバンド通信サービスのユーザーが計画どおりに増えていないからだ」という説明だけでは、納得できないことがあります。ユーザーを接続するアクセス回線として光ファイバーを導入する方法の研究が、1980年代から1990年代にかけて活発に行われました。そして、老朽化した銅線のメタリック電話ケーブルを取り替えるときに、新しいメタリックケーブルを設置するのと同程度のコストで光ファイバー・ケーブルに置き換える方法が開発されました。これは、既存の固定電話だけで十分だというユーザーも含めて、一つの地域の通信回線をまとめて光ファイバー回線に置き換える方法です。
ところが、メタリック電話ケーブルを使ってブロードバンド通信サービスを実現するADSLが普及したために、一つの地域のメタリックケーブルをまとめて光ファイバーに置き換えることが難しくなったようです。NTTのメタリックケーブルを使ってADSLサービスを提供している通信事業者が困るからです。
通信ケーブルは重要なインフラ設備です。競合する通信事業者の利害が対立するので、すっきりした問題解決は難しいのかもしれませんが、互いに協力して光ファイバー回線の普及を進める時が来たといえましょう。
都丸敬介(2007.10.21)
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