家の近くの散歩道に40段ほどの石段があります。この石段を登るとその日の体調がよく分かります。山形の山寺や金比羅宮を始めとして、多くの神社仏閣に長い石段あるいは階段があり、これを登りつめると必ず素晴らしい光景が見られます。これは日本国内だけのことでなく、海外でも印象に残っている階段が少なからずあります。
これまでに経験した最も急な階段は、カンボジアのアンコールワットのものです(写真1)。
傾斜が急なだけではなく、一段の幅が足の長さよりも短いので、かなり危険です。この階段がある、アンコールワットの中心にある建物の外には、滑落に備えて救急車が待機しています。
写真2は莫高窟千仏洞で有名な中国の敦煌の郊外にある「鳴沙山」に登る階段です。さらさらした砂山に、梯子を置いたものです。登りにはこの階段を使いますが、降りるときは砂を滑るのが快適です。有料の簡単なそりも用意されています。この砂山の頂上は夕日を見るのに絶好の場所です。
中国の西安にある、玄奘三蔵がインドから持ち帰った仏典を収めた大雁塔は7層の塔で、最上階まで登る階段の段数は般若心経の文字数と同じだそうです。自分で数えたわけではないので、本当かどうかは分かりません。最上階からの眺望は雄大です。
若い頃は頻繁に山登りをしていたので、今でも石段や階段を登ることに心理的な抵抗はありませんが、加齢とともにバランス感覚が悪くなり、不安定になってきたことを感じます。それでも、階段を登ることで得られる楽しみをいつまでも味わいたいと思います。都丸敬介(2007.10.14)