日立製作所が社内の食堂と売店で実験を行っている、利用者の指静脈認証だけで代金を決済するシステムの利用状況が、報道陣に公開されたそうです。小切手、クレジットカード、決済機能つき携帯電話など、現金を使わない決済システムが多様化して便利さが拡大しています。
バイオメトリックス技術の1つである静脈認証による代金決済は、新しい形態の電子マネーの1つといえます。クレジットカードの紛失や持参忘れはよくあることなので、バイオメトリックス認証だけで済む代金支払いがもたらす利便性と安全性は大きいといえます
この代金決済システムは、既存のクレジットカード・システムと連動するために、前もってカードの口座を開設しておく必要があります。実験システムでは、クレジット機能付き社員証を持っている社員を実験参加者として選んだということです。
一般的なユーザー認証では、ユーザー名(ユーザーID)と暗証番号(パスワード)の組合せでユーザーを特定しますが、ユーザー名と暗証番号はどちらも自由に変更できます。一方、バイオメトリックス認証では、認証用データがユーザーの身体的特徴に基づくものなので、人為的に変更することができません。したがって、原理的には、ユーザー名と暗証番号という2種類のデータを組み合わせる必要がありません。
一般に、ユーザー認証におけるバイオメトリックス技術の役割は、パスワードの代替と考えられていますが、バイオメトリックス認証技術は従来とは異なるいろいろな応用の可能性を備えています。今後の発展を見るのが楽しみです。
都丸敬介(2007.10.8)
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