なんでもマルチメディア(445):食べて旅して

以前、NHKの深夜ラジオ放送に「食べて旅して」という番組がありました。また、頻繁に放送されるテレビの旅番組には、必ず食事のシーンがあります。私は料理ができないし、料理を覚えようという気持ちがないので、食材や調理の方法は全く分かりませんが、旅先で出会った食べ物には、いつまでも記憶に残っているものが少なくありません。
 1970年代の初めに、始めて行ったイタリアの町は、昨日からのオリンピックの舞台になったトリノに比較的近いミラノでした。一週間ばかり滞在したのですが、スパゲッティとフリッター、そしてエスプレッソのとりこになりました。
 もともと麺類が好きなのですが、イタリアで最初に食べたスパゲッティ・ボンゴレには感激しました。腰が強い麺と比較的あっさりしたスープの味は、イタリアのどこの町でも満足できます。ところが、隣国のスイスやフランスでは、美味しいスパゲッティに出会ったことがありません。私が経験した最悪のスパゲッティは、米国のディズニーランドで食べたものです。ロサンジェルスの高級ホテルの中にある日本料理屋で食べた稲庭うどんは最悪でした。
 スイスの名物料理として有名なフォンジュも、記憶に残る幾つかの経験があります。バーゼルでホテルの人に紹介してもらった店では、一つずつ串に刺した肉が、開いた花びらのように大皿に盛りつけてありました。ジューシーな肉を食べた後の串が目の前にどんどん積み上がるのは爽快でした。
 エジプトで食べた不思議なパンも印象に残っています。インドや中近東のどこにもある主食のナンと同じような白い生地のパンですが、ふっくらと膨らんで真ん中が中空になっているものです。これをちぎって、中にいろいろな具を挟んで食べるのです。伝統的な食べ物は、風土から生まれ、その場所で食べるのが最高だということを何度も経験しました。こうした食べ物に出会ったときは幸せを感じます。
都丸敬介(2006.02.12)

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