なんでもマルチメディア(474):匂いの伝達

テレビの料理番組に同期して、インターネットで匂いを配信するサービスを、フランステレコムが今年の秋に始めるという報道がありました。配信するディジタル信号で、視聴者のパソコンに接続した香り発生装置に指示を与え、複数の香料を合成した匂いを作り出すというものです。
 本コラム(2005年2月7日、第378回)で取り上げたことがありますが、このような「香り通信」技術の先進国は日本です。今回報道されたフランステレコムのサービスと同じようなことを、2005年5月にNTTコミュニケーションズが始めています。当時の新聞記事には、この技術を利用してアロマテラピーの通信教育を始めたとあります。このときから1年以上経過した現在、どのような利用方法が実用になったかということについては調べていませんが、かなり大きな話題性があるようです。
 香り発生装置は匂いを合成するものですが、要素技術としては、合成と対になる匂いの分析技術が重要です。最近放映されたテレビドラマで、犯人を追跡する手段の一つとして匂い分析技術を使っていました。テレビドラマのようにうまくいくかどうかは疑問ですが、分析技術が発達した現在では、匂い分析の応用範囲はかなり広く、テロ対策や麻薬犯罪対策などのセキュリティー分野で、大きな成果が期待されます。
 NTTが匂い分析の研究に取り組んだきっかけは、通信設備を火災から守るために、発火する前に、匂いによって火災の危険性を感知しようということだったと記憶しています。
都丸敬介(2006.08.20)

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です