なんでもマルチメディア(468):許容待ち時間の感覚

最近サービスが始まったワンセグ放送は、映像情報のほかにいろいろな文字情報が見られるということがセールスポイントの一つになっていますが、文字情報が表示されるまでの待ち時間の長さが、利用者をいらだたせているという報道がありました。問題になっている時間の長さは20秒?30秒程度のようです。
 以前、このコラムでも書いたことがありますが、インターネットのホームページ画面が出始めてから出終わるまでの許容時間に「8秒ルール」という経験則があります。そして、8秒では長すぎるから、3秒を目標にすべきだという議論があります。
 情報通信機器の機能が高度化するにつれて、いろいろな場所で発生するデータ処理に時間がかかり、ユーザーが体感する待ち時間が大きくなる傾向があります。この結果サービス品質が劣化します。このことについて、システム設計者やサービス提供者が、真剣に目標値を設定してその実現に努力しているのかどうか、首をかしげたくなることが増えています。
 通信サービスの分野では、ブロードバンド・ネットワークの研究が盛んになった1990年代前半から、QoS(クォリティ・オブ・サービス)を合い言葉にして、良好なサービス品質を実現するための努力が払われています。しかし、現在の情報通信サービス全体を見ると、QoSに対する取り組みは不十分です。寛大なユーザーが我慢しているのをいいことに、厳しいサービス品質目標の設定と、その実現の努力を怠っていると、いつかは厳しい反発が起こります。ワンセグ放送で発生した問題はその一つです。
都丸敬介(2006.07.11)

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