なんでもマルチメディア(413):アイスブレーカー

本棚から取り出した古い本を読みながら、最初に読んだときのことを思い出すことがよくあります。1985年に発行された、新ジェイムス・ボンド・シリーズの「アイスブレーカー」(文春文庫)を久しぶりに読んで、20年前に時間が戻りました。
 国際学会で知り合った、今は携帯電話で有名なノキアの研究開発部長に招かれて、ヘルシンキを訪問したとき、フィンランドを舞台にしたこの本を読み終えたばかりでした。ノキアが手配してくれたホテルの隣が、007のジェームス・ボンドが泊まったことになっているインターコンチネンタル・ホテルだったのです。
 当時のノキアは、通信機器関係では構内電話交換機(PBX)の開発に力を入れていて、研究開発の管理手法について議論をしました。そして、仕事の話が終わった後で、ヘルシンキの郊外を案内してもらいました。
 大作曲家シベリウスが作曲活動をしていたヘルシンキ郊外の家は、描いていたイメージどおりの、森と湖に囲まれた静かでゆったりした環境にありました。この家の近くには、伝統的なサウナ小屋も保存されています。
 午後のお茶を飲みに立ち寄った彼の新築の家には、浴室のほかにサウナ・ルームがありました。電熱式の個人住宅用サウナはうらやましい設備です。
 「フィンランドにも日本よりも優れている先端技術があるから見せてあげよう」ということで、ヘルシンキ湾沿いの造船所をモーターボートで外から見学しました。ここで建造していたのは、ステンレス・スチール製のアイスブレーカー(砕氷船)でした。喫水線から下の塗装がない銀色に輝く船体は今でも印象に残っています。
都丸敬介(2005.07.24)

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