なんでもマルチメディア(414):ロンドンのテロ事件

今月ロンドンの地下鉄とバスで、2回の爆弾テロ事件が発生しました。たまたま、英国MI5がテロ組織アルカイダの資金源を絶つために、元SAS(英陸軍特殊空挺部隊)の隊員を徴募して、地中海でアルカイダの船を襲撃する作戦を実行するという小説「テロ資金根絶作戦(クリス・ライアン著、ハヤカワ文庫)」を読んでいました。襲撃部隊はダイヤモンドや金を手に入れたけれども、すぐに英国内のアルカイダ組織の報復を受けて、参加メンバーが次々に殺害されるというストーリー展開です。この本が出版されたのは2003年ですが、描かれている英国内のアルカイダ組織と今回の爆弾テロ実行組織にかなりの類似性が見られます。
 今回のテロ事件では、実行犯の特定と拘束が迅速に進んでいますが、その手がかりが、大量に設置されているビデオモニターの記録映像だということに、驚きと同時に不安を感じます。プライバシー保護問題を扱った小説に、1948年に執筆されたジョージ・オーウェルの「1984年」があります。この小説には、個人の言動を常にキャッチするテレスクリーンという監視装置が登場することから、1984年に開かれた国際コンピューター通信会議で特別議題に取り上げられました。
 今回の爆弾テロ事件発生後、街中に設置されたビデオモニターの是非が話題になっています。今のところ必要悪として肯定的に受け止めている人が多いようですが、機器設置や運用について法律で裏付けされた指針がないと、恐ろしいことが起こる可能性があります。
都丸敬介(2005.07.31)

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