最近、ルーブル美術館のモナリザの部屋がリフォームされたというニュースがありました。私が初めてこの絵を見たときは、大部屋の壁に、ほかの絵と並んでむき出しのまま展示されていました。その後で特別展示室に移り、この絵だけが防弾ガラスで保護されるようになりました。絵の前は広くなりましたが、人だかりが激しくなり、かえって見にくくなりました。今度のリフォームでどの程度見やすくなったのか知りませんが、モナリザ自身は幸せになったのかと、つまらない疑問が頭をよぎりました。
モナリザといえば、1950年代にフランスの文化担当国務大臣になった作家のアンドレ・マルローが、1923年に盗み出そうとして見つかり、3年の禁固刑になったということで有名な、東洋のモナリザがあります。このモナリザは、カンボジアのアンコール・ワットから40kmばかり離れたバンテアイスレイという、小さな寺院の入り口の両脇に彫られている女神の一つで、愛くるしい顔をしています。
私がバンテアイスレイ寺院を訪ねたのは2003年ですが、数十年前に日本各地で見られた、村の古い寺や神社の雰囲気でした。東洋のモナリザは覆いもなく雨風にさらされていますが、健康そのものの明るさを感じます。この寺院には見ていて飽きない魅力的な彫刻が溢れています。
アンコール遺跡群見学の拠点になるシェムリアップには、国際水準の立派な観光ホテルがいくつもできています。日本人が経営する現地旅行会社もあるので、幾日か滞在してゆっくり楽しむことをおすすめします。
都丸敬介(2005.08.07)
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