なんでもマルチメディア(416):スペースシャトル

宇宙飛行士の野口聡一さんが活躍したスペースシャトルのディスカバリーが、8月9日に無事帰還しました。関係者は大変心配だったと思います。
 この時期に合わせるように出版された、スペースシャトル計画は最初から失敗だったという本を読みました。著者が強調しているのは、スペースシャトルを翼をつけた構造にしたことが失敗の根本原因だというのです。翼をつけたことによって、重量が大きくなり、打ち上げ方法に無理が生じたために、信頼性が著しく低下したと指摘しています。翼が役立つのは帰還して着陸するときだけなのだから、パラシュートを使って海に着水する円錐形構造を採用すべきだったと主張しています。
 この指摘にはそうかなと思う点がありますが、全く触れていない幾つかの疑問があります。今回の飛行では、着陸予定地のケネディ宇宙センターが天候不順のために、代替地のエドワーズ空軍基地に着陸しました。代替帰還地はこの他にも用意されています。これは翼と車輪があるからできたことです。パラシュートを使って海に着水する方式でも、複数の代替帰還地を用意できるのか、回収失敗の可能性はないのかといったことについて、どのような検討が行われたのか説明がありません。
 この本ではスペースシャトルの重量に注目していますが、宇宙ステーションに運ぶ機材の大きさについては触れていません。スペースシャトルの事故の影響で、現在は、ロシアの宇宙船を使って宇宙ステーションに交替要員を送っていますが、大きな機材を運ぶことができないでいます。大きな機材を宇宙ステーションに運び、不要になった機材を持ち帰るのにはどのような構造が適しているのか、納得できる説明がありませんでした。
 まもなくスペースシャトル計画は終わるようですが、宇宙ステーションの建設や、これを利用するいろいろな実験計画がどうなるのか、今後もいろいろな話題が出てくることでしょう。興味深いことです。
都丸敬介(2005.08.14)

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