なんでもマルチメディア(662):文献抄録

20歳代の中ごろ、勤務していた研究所の先輩から、海外の論文誌や技術雑誌に掲載されている文献の抄録原稿作成を頼まれました。個々の文献のあらましや内容の要点を200300字程度にまとめた原稿は、印刷されて、全国の図書館や企業に配布されました。

 抄録対象文献の大部分は私自身の研究プロジェクトとあまり密接な関係はありませんでしたが、毎月30件程度の文献を5年ほどしっかり読んだ体験は、貴重な体験であり、多くの面で役に立ちました。

 抄録原稿を書くことで、世界の最先端で研究開発を行っている人たちが取り組んでいるテーマや考え方、論文としてのまとめ方などを身近に感じることができました。

 この時代に身に着いたことは、50年以上経った今でも、毎月手元に送られてくるいくつかの学会の論文紙や技術雑誌を開くときに、わくわく感をもたらしてくれます。

 現役時代に取り組んだ大規模のシステム開発プロジェクトでは、研究対象システムだけでなく、それを構成する広範囲の機器や部品の動向、システムの性能や品質を評価するのに必要な理論など、広範囲の知識がおおいに役立ちました。こうした知識の多くは、文献抄録原稿を書くことによって蓄積されたことです。

 インターネットを利用して、多くの知識が瞬時に手に入る時代になりましたが、若いうちに多くの文献をしっかり読むことの効果は変わらないと思います。

都丸敬介(201357)

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