インターネット関連事業者の多くが個人の写真や文書を保管するサービスを提供しています。デジカメの普及に関連して、大量の写真を保存しあるいはアルバムとして整理するサービスメニューが、クラウドコンピューティング・サービスの一環として増えています。こうしたサービスは利用者にとって便利ですが、保存と管理を委託した人たちが、貴重な個人の記録を30年後、50年後に再生できるかどうか疑問です。
私は2006年からシニア世代の人たちを対象にしてパソコンの使い方の指導をしていますが、受講者の人たちが最も感激するテーマは、スキャナーを使って古い写真をパソコンに取り込んで再生させることです。小学校時代の集合写真や、名刺判の色あせた小さな写真を再生して、当時のことを思い出し、涙ぐむ受講者が少なくありません。
デジカメで写した写真のデータをきちんと保存してあれが、変色による画質の劣化が起こらないし、部分拡大も簡単にできます。けれども、データを預けたサービス事業者が30年後、50年後に同じサービスを続けている保証はありません。大切なデータは個人で保存し、適切に管理することが望ましいといえます。
しかし、個人で保存、管理しているデータをいつでも再生できるようにしておくことは簡単ではありません。わずか10年前にフロッピーディスクに保存したデータを再生できない人が沢山います。高齢化が進んだ社会では50年前の個人的な写真や文書を再生することの効果が大きくなっています。このような分野にどう取り組めばよいかということは大切なテーマです。
都丸敬介(2012年5月15日)
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