今日(2012年5月21日)の日経産業新聞に”IPv6来月移行 日本勢書き込み対応”という見出しの記事がありました。米国でインターネットの商用サービスが始まった1980年代末に、すでにIPv4(インターネット・プロトコル第4版)の規格では、いずれアドレスが足りなくなることが指摘され、その対策として、1990年代にIPv6の規格が作られました。IPv6の最大の特徴は、識別できるIPアドレス数がIPv4の2進数32桁(32ビット)から128桁(128ビット)に大幅に拡大されたことです。
しかし、IPv6の規格制定から15年たった今でも、IPv6の普及は遅々として進んでいません。このことの背景には、アドレスマスクやプライベートアドレスといった、IPv4の使い方の工夫によるIPv4アドレスの延命策が効果をあげてきたことがあります。これらの延命策も、近年のインターネットやIPネットワークの急速な拡大に対応しきれなくなってきたために、IPv6の普及に本腰が入ってきたといえるでしょう。
けれども、冒頭の記事で取り上げられたIPv6への移行はインターネット接続事業者(ISP)の対応であって、一般ユーザーが使う情報通信機器のIPアドレスが一斉にIPv4からIPv6に切り替わるということではありません。
無尽蔵といえるIPv6アドレスを莫大な数のセンサーに固定的に割り当てることの効果は以前から注目されています。ISPのIPv6一斉導入を契機にして、新しい産業や生活の形態が実現する可能性が大きくなりました。これからの展開が楽しみです。
都丸敬介(2012年5月21日)
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