このところ毎日のように、関西電力の停止中の原発の再稼動の是非がテレビや新聞の話題になっています。問題の発端は、「今年の夏の電力需要のピーク時に関西電力管内で電力不足状態が生じる恐れがあるので、原発を再稼動しないと計画停電を考えなければならない。計画停電を防ぐためには原発の再稼動が必要だ」ということです。
これに対して、原発再稼動に反対する側の具体的な根拠は、「全国の電力会社の総発電量は、総消費量よりも大きいから、余剰電力を関西電力に融通すればよい」ということです。
昨年の夏、首都圏で長期間の計画停電が行われたとき、西日本の電力会社の余剰電力を首都圏(東日本)に融通できない技術的な理由として、「西日本と東日本では交流電力の周波数が異なる。境界に設置されている周波数変換設備は容量が足りないので、西日本の余剰電力を十分に東日本に供給できない」という説明がありました。
今回の原発再稼動の是非に関連する重要なことですが、余剰電力をもっている電力会社から関西電力に必要量の電力を供給できるのかできないのかという説明がまったくありません。原発の再稼動が関西電力管内の大規模停電を防ぐための唯一の手段なのかどうか、技術的に納得できる説明が求められます。また、交流電力周波数が異なる東日本と西日本の間の電力流通をどのように実施するのかという説明も求められます。これは大きな時間とコストがかかる、国の重要なエネルギー政策の一つです。
都丸敬介(2012年4月25日)
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