2012年1月25日にNTTドコモで大規模の通信障害が発生しました。同社では2011年12月20日にも大規模の障害が発生しました。今回の事故はスマートフォン(スマホ)の急速な普及拡大に対処するために更新したパケット交換機の処理能力不足であり、通信量(トラフィック)の増大を過小評価したという説明がありました。
通信ネットワークは、データを運ぶリンク(通信回線)と、通信を制御するノード(交換機やサーバー)に大別されます。過大トラフィックによる通信障害というと、一般にはリンクの容量不足が考えられますが、今回の障害と12月の障害は、いずれもノードの処理能力不足に起因したことです。
テレビや新聞の解説では具体的な事故発生原因はわかりませんが、インターネット技術の根幹であるIPアドレスの使い方が絡んでいると考えられます。現在使われているIPv4(IP第4版)のアドレス数が足りなくなる可能性が1980年代に指摘され、1990年代にはIPアドレス数を大幅に拡大したIPv6の規格が制定されました。しかし、IPv6の普及は進んでいません。
すべてのスマホにIPv6アドレスを固定的に割り当てて運用するならば、NTTドコモで発生したような深刻な障害を防ぐことができるはずです。さらに、スマホの応用分野の拡大にも効果があります。
BIネット主催のセミナーあるいは研究会で、この問題を取り上げて徹底的に議論すれば、世界をリードする新しい潮流を生み出すきっかけになると考えます。
都丸敬介(2012年1月27日)
スポンサーリンク