なんでもマルチメディア(644):1980年代と今

新しい年が始まりました。今、日本は多くの難問を抱えて、明るさを失った状態にあります。ハンドレッドクラブ発足のきっかけは、1984年9月に実施された”欧州テレトピア調査団”です。1980年代は日本が敗戦後のどん底の状態から這い上がって、ようやく経済大国として世界に認められた時代です。しかし学ぶことが多く、世界のリーダーという状態ではありませんでした。

 テレトピアは1983年に郵政省が提唱した地域情報化構想です。同じ年に通商産業省はニューメディア・コミュニティという地域情報化構想を提唱していました。これらの構想が一斉に生まれた背景には、通信ネットワークのデジタル化、コンピューターの利用分野の拡大、マルチメディア情報通信技術の発展などがあります。そして、多くの夢が次々に現実のものになり始め、今ではインターネットや多目的モバイル通信などの1980年代に実用化された技術が日常生活や産業を大きく変えました。しかし、全ての夢が実現されたわけではありません。

 技術開発の経緯を見ると、最初の構想が成功した後にいろいろな枝が伸びて大木になったもの、一旦は成功したけれども短期間で陳腐化して姿を消したもの、大きな話題になったけれども日の目を見なかったものなどがあります。成功体験は貴重な教訓になりますが、成功の代償として犠牲が出ることもよくあります。当初は成功しなかったけれども、何かをきっかけにして大成功を収めたものもあります。
 この後しばらく続けて、エキサイティングな1980年代に情報通信システムの開発に携わる幸運に恵まれた技術者の一人として体験した、当時の世界の動きと現状を見比べながら、いろいろなテーマを取り上げたいと考えています。

都丸敬介(2012年1月5日)



スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です