家庭やオフィスの電力供給(給電)は100Vあるいは200Vの交流が一般的です。国によって電圧や周波数にばらつきがありますが、どこの国でも交流給電が基本です。これに対して、直流給電の研究が最近目立つようになりました。2009年11月に日本国内で発足した「宅内直流給電アライアンス」という業界団体の検討内容は家庭内直流給電のモデルとして興味があります。
多くの情報通信機器や電気製品は、電力会社から供給される交流電力を、機器ごとに内部で直流電力に変換して使っています。このために生じる無駄な電力を減らすと同時に、機器の小型軽量化や発熱を抑えるのに直流給電は効果があります。直流給電装置にバッテリーを組み込むと、長時間の停電対策になるばかりでなく、屋根に設置した太陽光発電の電力を効果的に利用できます。
電話局やコンピューターセンターでは、以前から直流給電による無停止給電が行われています。したがって、直流給電技術の蓄積はかなりあるはずです。家庭用として、30V程度の低電圧系と300V程度の高電圧系の2系統を設けることが検討されているようです。電気機器の実現方法の標準化や安全性の検討にどのくらいの時間がかかるかわかりませんが、宅内直流給電は広範囲の産業に大きな影響をもたらすビッグプロジェクトになると思えます。
都丸敬介(2011年11月29日)
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