知人の案内で、福島県会津地方の紅葉を楽しんできました。数ヶ月前に終了したNHKラジオ放送の番組に「食べて旅して」というのがありましたが、この番組のリポーターの体験や感激を実感するような一日でした。
最初の訪問地は、会津若松から西に20kmばかりの柳津(やないづ)です。尾瀬を源流とする只見川が悠然と流れている景勝地で、只見川ライン下りという小さな船旅ができます。川を見下ろす高台に800年頃(大同年間)に建立されたという寺があり、紅葉と川の組合せを撮影するカメラマンが大勢いました。
この小さな町の名物はきびまんじゅうです。数十年前の田舎の雑貨屋のような雑然とした小さな店には、車で乗り付けた人の行列ができていました。できたての黄色いまんじゅうは指に粘りつき、柔らかい餅のような感触です。
玉梨という小さな集落に、これも人だかりがしている豆腐屋がありました。名物は青豆豆腐です。炭火を囲んだテーブルで、作りたての豆腐をご馳走になりました。20分ほどの時間をかけて揚げた、厚さが5センチほどの厚揚げは都会の店では買えません。
延々と続く紅葉を見ながら峠を越えて、大内宿という江戸時代の宿場町に着きました。500mほどの広い道の両側に、同じ形をした大きな茅葺きの家が整然と並んでいます。周辺の稲刈りが終わった農地や背景の山と合わせて、心憎いほどに美しい景観が保存されています。年間70万人もの観光客が訪れる人気の場所だそうで、駐車場の手前は長い車の行列ができていました。多くの家がそば屋と土産物屋になっています。1500円の定食は、量が多い名物のそばに、つきたての餅がたっぷり付いていました。こういう雰囲気と味わいは日本人の心の故郷なのかもしれません。
都丸敬介(2005.11.07)
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