最近、ディジタル・サイネージという言葉を目にすることが多くなりました。サイネージ(signage)という単語は比較的新しく、辞書にも見当たりません。ディジタル・サイネージに相当する日本語はディジタル看板ですが、従来の看板のイメージとはかなり異なります。概念的には「街角や商業施設、電車の中などに設置した電子的ディスプレイに、ネットワークを利用して広告などの文字・映像情報を配信して表示するシステムの総称」といえます。
今年の2月に米国ラスベガスで開かれたディジタル・サイネージ・エキスポの報告画面を見ると、このための技術と利用分野が急速に発展していることがわかります。ただし、基本的なことは1980年代に議論した「将来のマルチメディア情報システムの形態」からあまり進歩していないという印象です。ブロードバンド通信ネットワークの普及、ディスプレイの大画面化と価格低下、画像データ処理技術の進歩、データの検索と配信技術の進歩などの総合効果として、20年前の夢が実現したのが現在のディジタル・サイネージの姿です。
この技術の応用がインターネットの中でプッシュ型情報配信の一つとして発展するでしょう。その結果、多くの人たちに興奮や安らぎなどのいろいろな効果をもたらすでしょうが、犯罪的行為を誘発する危険もあります。
健全なディジタル・サイネージの在り方の検討が求められる時代になりました。
都丸敬介(2008.7.22)
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