書店で目についた「レイジング・アトランティス」(ハヤカワ文庫)という小説を、その題名にひかれて読みました。
南極大陸を覆う氷が崩壊してその下からアトランティス大陸の都市が現れ、その中心にあるピラミッドは地球外の宇宙船だったという、古代エジプト文明やキリスト教の創世記と現在のバチカンなどが絡み合ったSFアクション小説です。ビデオゲーム感覚の超現実的な内容ですが、いろいろな史実を上手に組み入れて、テンポよくストーリーを展開しています。
内容はともかく、この小説が生まれた経緯に興味を持ちました。これは2002年にamazon.comのeブックとして出版されてベストセラーになり、その後2005年にペイパーブックとして出版されたということです。このような出版形態がこれから急速に拡大するのかもしれません。日本でもインターネットによるeブック(電子ブック、電子出版)の流通が活発になってきました。大きなコストがかかる自費出版や、出版される確率が小さい懸賞小説と比べて、小説家を目指す多くの人たちにとって、eブックの環境は作品をアピールする絶好の場といえるのでしょう。
検索連動型広告のように、広告を組み合わせて、読者がアクセスした回数に比例した印税のような金額を、広告料金の中から著者に支払うようにすれば、読者は気楽に無料で気に入った作品を見つけることが可能です。こんなことを考えていると、出版業界の大きな変革が見えてきます。
都丸敬介(2005.12.18)
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