明けましておめでとうございます。
典型的な冬型気圧配置のためか、逗子の空は青く澄み渡り、風もありません。昨年の夏は記録的な猛暑で、地球温暖化に対する関心が急上昇しました。しかし、昨年11月以降の気候は、記憶にある数十年前と同じであり、温暖化の影響は感じられません。年間平均気温のデータを調べてないので何ともいえませんが、本当に急速な温暖化が進んでいるのだろうかという疑問がわきます。
年末にマイクル:クライトン著「恐怖の存在」(ハヤカワ文庫)という小説を読みました。地球温暖化に起因すると考えられる異常気象対策を旗印にかかげた組織が、資金集めのために、大規模の異常気象を人工的に起こそうとする環境テロが中心テーマです。このテロ計画に気付いた主人公たちが、きわどいところでテロ活動を無力化するというサスペンス小説です。描かれているテロ活動が現実に実行できるとは思えませんが、著者の着想と大量の文献や資料を調べて引用したデータは興味深い内容です。
本のタイトル(原著はState of fear)について本文の中で著者が述べていることは、現代のリーダーたちが「恐怖」を示すことで社会を導いていることの危険性です。
小説には珍しく、巻末に6ページにわたる「作者からのメッセージ」が掲載されています。「現在の温暖化傾向がどの程度まで自然現象であるのかは、だれにもわからない」、「現在の温暖化傾向がどの程度まで人間活動によるのかは、だれにもわからない」といった指摘に答えを出すのが科学者に与えられた重要な課題です。
都丸敬介(2008.1.1)
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