なんでもマルチメディア(507):NGNの意義

NTTがNGN(次世代ネットワーク)のフィールドトライアルを始めてから、間もなく5ヶ月になります。1年前と比較すると、NGNをキーワードとする新聞や雑誌の記事がめっきり減りました。NGNは通信事業者のコアネットワーク(基幹ネットワーク)を中心とする設備の技術であり、これを利用するアプリケーションサービスではありません。コアネットワークが変わっても、それによって画期的な新サービスが出現するのでなければ、情報通信サービスの利用者にはその変化が分かりません。
 それでは通信事業者が何故NGNの開発と構築に巨額の投資をするのかというと、サービスコストの大幅な削減と、通信ネットワークの利用方法の多様化に対して迅速かつ柔軟に対応できるようにすることといえます。
 NGNの基本は、電話交換網の技術として確立した回線交換方式を、インターネットの技術として確立したIPパケット交換方式に切り換えることです。輸送網に当てはめると、鉄道網を廃止して自動車網に切り換えることに相当します。鉄道網が衰退して自動車網が発達した最大の理由は利用時の時間や場所の制約が少ないことです。反面、自動車網では渋滞が発生すると目的地に到着するまでの時間が大きくなるというサービス品質の低下が生じます。
 NGNはIPネットワークの弱点であるサービス品質や安定性を固定電話網並みに改善し、さらに利用条件に大きな自由度をもたせるものです。NGNを利用する新しいビジネスを生み出すためにはNGNの仕組みや特徴について理解を深める必要があります。
都丸敬介(2007.5.15)

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