テレビジョン放送のディジタル方式への全面的な移行の時期が近づき、世の中の関
心が高まってきました。米国ではハワイ州がすでに完全ディジタル化を実施しました
が、おりからの不況の影響で全国のディジタル化移行には難題があるようです。
従来のテレビジョン視聴では、アンテナを用意して放送電波を受信する方式と、
ケーブルテレビの配信サービスを利用する方法がありましたが、最近、第3の方法が
実用になりました。これがIPTV(インターネット・プロトコル・テレビジョン)で
す。通信事業者が提供している、光ファイバー回線のような高速アクセス回線を利用
して、インターネットの標準技術であるIPパケットで映像情報を配信します。
NTTグループは昨年サービスを始めたNGN(次世代ネットワーク)のアプリケーショ
ンの一つとして、“ひかりTV”の名称でIPTVサービスを実施しています。このサービ
スには各放送番組の再送信のほか、ビデオサーバーに蓄積されている多数のビデオを
選択的に視聴できるビデオ・オン・デマンド・サービスがあります。
インターネットを利用するビデオ情報配信は目新しいことではありませんが、IPTV
では従来のビデオ情報配信では保証されてないサービス品質の実現が重視されていま
す。IP電話では、IPネットワークで固定電話なみの良好な音声品質を実現するために
QoS(サービス品質)という評価尺度が重視されましたが、映像配信ではさらにQoE
(体感品質)が重視されています。サービスを提供する事業者の間で良好なサービス
を実現するための競争が活発になることはユーザーにとって好ましいことです。
都丸敬介(2009.2.1)
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