なんでもマルチメディア(540):CDN(コンテンツ配信ネットワーク)

東芝がHD-DVD事業からの撤退を発表して、次世代DVDの規格がブルーレイ・ディスクにしぼられたことが世界的なニュースになりました。消費者にとって規格統一は好ましいことですが、HD-DVDの開発を担当した技術者たちにとっては残念なことと思います。

 私の手元にはビデオテープ、レーザーディスク(LD)、DVDの3世代のビデオ記憶媒体があります。それぞれのコンテンツの中には、海外旅行の旅先で購入したものがあります。これらの多くは新世代の記憶媒体では入手が難しいものです。自分でDVDに書き込むのも面倒なので、それぞれの再生装置を使っていますが、さらにブルーレイ・ディスクのプレイヤーを購入する予定は今のところありません。

 それよりも、NGN(次世代ネットワーク)を情報流通ネットワークとして利用するVOD(ビデオオンデマンド)サービスの拡充に期待しています。新聞で「NGNにはキラーコンテンツが見あたらない」といった記事をときどき見かけますが、DVDとライブの放送中継ができるようになれば、コンテンツはほとんど無限にあります。

 ただし、本格的なビデオ情報流通ネットワークの発展のためには、解決しなければならないいくつもの重要なことが考えられます。一つは、元のVODサーバーのコンテンツのコピーを供給する多数のコピーサーバーで構成するCDN(コンテンツ配信ネットワーク)の整備です。インターネットのWebサーバーの情報分配については、世界規模のCDNが運用されていますが、VODで扱う情報のCDNをだれが、どのように構築するのかということは大きな課題です。NGNで流通するビデオ情報を受信する装置は、使い易いテレビ受像機をベースにしたものが主流になるでしょうが、適切な視聴料金体系や料金徴収システムの確立も重要な課題です。

 HD-DVDやブルーレイ・ディスクに取り組んできた優秀な技術者の多くが、その技術をNGN時代に活かすことを期待します。

都丸敬介(2008.2.20)

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