今年(2007年)3月31日に、NTTドコモのポケベル・サービスが終わりました。ポケベルという用語は、NTTが付けた「ポケットベル」という名称が語源で、国際的な標準用語はページャーです。ポケベル・サービスが始まったのは1968年であり、1995年頃にはNTTグループ以外の事業者を含めて、国内のユーザー数が1,000万を超えました。この頃がユーザー数のピークで、携帯電話やPHSの普及とともに急速に衰退しました。NTTドコモは、2001年1月にポケットベルをクイックキャストに改名して、新しいサービス機能を追加しましたが、ユーザー数の減少を止めることはできなかったようです。
消えていくサービスがある一方では、新しく生まれたサービスがあります。その一つがFONです。これは無線LANを複数のユーザーが共用する仕掛です。インターネットのユーザーが利用できる、公開されている無線LANとして、いわゆるホットスポット・サービスがありますが、FONはユーザーの宅内に設置した無線LANの設備を他のユーザーが利用するものです。世界で最初のサービスが英国で始まり、日本では2006年12月にサービスが始まりました。既存の無線LANとは異なる専用の設備が必要ですが、個人のユーザーが用意した設備を他人が使うことができるという意味で、情報通信ネットワークの新しい発展方向を示唆しています。他のユーザーの機器を利用して無線中継をおこなうアドホック・ネットワークの研究開発も活発になっています。
都丸敬介(2007.4.8)
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