なんでもマルチメディア(501):表層雪崩

今年は暖冬で山の雪が少ないにもかかわらず、雪崩による遭難のニュースが何度も報じられました。昨日(3月18日)もスノーモービルを楽しんでいた人たちが雪崩に巻き込まれる事故がありました。この雪崩は表層雪崩だったということです。表層雪崩は固まった雪の上に新しく積もった大量の雪が一気に崩れ落ちる現象で、最も危険な雪崩とされています。
 私は高校生時代に山登りのとりこになり、1950年代から60年代にかけて、時間を作っては上越国境の谷川岳に通いました。この頃、谷川岳の群馬県側の登山口にあった国鉄土合山の家のご主人だった中島さんから、何度も表層雪崩の話を聞きました。
 今でも印象に残っているのは、表層雪崩のことを「ほうら」という話です。雪崩に気がついて「ほうら雪崩だぞ」と言い終わらないうちに、巻き込まれてしまうほど速いことから「ほうら」とよぶということでした。
 谷川岳で最も有名な岩場である一の倉沢の奥にあった山小屋が、表層雪崩の被害にあった跡を見に行ったことがあります。雪の固まりが空中を飛んで、山小屋の2階部分を切り取ってしまったのです。雪崩が通った跡は、一抱えもあるような太い木が何本も、地表から1mくらいの高さですっぱり切られていました。
 雪山を楽しむ道具が進歩しても雪崩は起こります。雪崩を起こしたきっかけがスノーモービルだったとしたら、これは人災です。
都丸敬介(2007.3.19)

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