なんでもマルチメディア(509):情報通信システムの信頼性

通信事業者や航空会社などの社会を支える企業で、サービスに直結する情報通信システムの長時間障害が続いています。新聞報道によると、5月23日にNTTグループで発生したIP電話サービスの長時間障害の原因は、 設備に対する命令を大文字入力すべきところ、小文字入力したためだったということです。マニュアルには小文字の使用を禁止することが書かれていたけれども、誤入力を検出して警告を出す機能がなかったというのですから、誤入力をした人以上に、このようなシステムを提供したシステム設計者の資質が問われます。
 こうした些細な人為的なミスが大きなシステム障害を引き起こした事例は多数あります。そして、過去の経験に基づくシステムの信頼性や安全性設計の方法が技術教科書に記されています。それにも関わらず大きなシステム障害がなくならないのは困ったことです。
故障や異常動作が発生したときの安全性を考慮したフォールト・トレラント・システムには、フェールセーフ、フェールソフト、フールプルーフなどの動作モードがあります。システム設計では、システムのどの部分あるいはどの機能にはどの動作モードを適用するかを決めます。こうしたことが個々のシステムでどうなっているのかを検証するには大きな労力と知力が必要ですが、問題意識をもっていない人や組織は、いつまでたってもトラブルを防ぐことができません。技術が発達すればするほど、危機管理教育の重要性が大きくなります。
都丸敬介(2007.6.3)

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