なんでもマルチメディア(575):技術者の再教育

米国の金融破綻をきっかけにして始まった世界的な経済の不安定化が情報通信産業

にも大きな影響をもたらし始めました。20年前に日本でバブル経済がはじけたとき

に、それまで順調に拡大してきたソフトウエア産業で、多くの従事者が職を失いまし

た。このとき目立ったのがCOBOLを使ってプログラムを作っていたソフトウエア技術

者の失職です。

 今回は企業情報システムの開発や構築に従事しているシステム・エンジニア(SE

の職場が大幅に収縮する気配があると指摘されています。

 COBOL技術者を中心とするソフトウエア技術者が大量に余ったとき、当時の通商産

業省は情報処理技術者全体の育成計画を見直しました。その結果がどの程度の実を結

んだかという客観的な評価は難しいでしょうが、いつのまにかソフトウエア技術者が

余っているという話はなくなりました。

 これからSEが仕事をする場が急速に収縮するならば、身につけた技術を生かせる新

しい職場を探すかあるいは創出しなければなりません。幸いなことに、2 0年前と比

較して情報通信システムの規模が大幅に拡大し、複雑化してきたことを考えると、優

れた技術者が働く場は十分にあるように思えます。ただし、新しい仕事につくために

は組織的な再教育と本人の学習努力が必要です。

 私は現役を引退して10年以上たちましたが、今でも企業の技術者育成の手伝いを頼

まれています。そこで感じていることは、実際のシステムを事例にして体系的に解説

することの大切さです。

都丸敬介(2008.10.27

なんでもマルチメディア(574):そばの季節

新そばの時期になりました。そばというと信州そばが有名ですが、福島県の会津地

方もそばの名産地です。先週、知人に案内されて、会津山都そばを味わってきまし

た。山都はラーメンで有名なJR磐越西線喜多方の隣の駅です。駅の近くに「飯豊とそ

ばの里センター」があり、そば粉をはじめとするそば打ちに必要な器具を売っている

だけでなく、そば打ちの体験ができます。直径40cmほどの石臼に17万円の定価がつて

いるのには驚きました。

 今回は山都のそば屋でそば会席をご馳走になりましたが、山都から車で30分ほどの

飯豊山の麓にある宮古には珍しい水そばがあります。宮古は山間の小さな部落で、十

数軒の農家が座敷でそばを提供しています。水そばは椀に入れた水にそばをつけて食

べます。この水は地元の名水です。そば以外の味が一切ないので、そば本来の味と食

感が直接伝わってきます。

 以前、宮古で水そばを賞味したときには感激しました。そば屋のおばあさんが、辛

みをつけるとまた違った味になるからと言って、裏の畑から辛み大根をとってきて、

すり下ろしてくれました。このときの味も忘れられません。

 地図で見ると山都や宮古はかなり遠い場所に見えますが、東京から日帰りできま

す。新幹線に乗って、一杯のそばを食べに行くことは最高の贅沢かもしれませんが、

そこでしか味わえないという価値があります。

 これから会津地方ではあちこちで大規模の新そば祭りが始まります。静かな水そば

と賑やかな新そば祭り。どちらも楽しめます。

都丸敬介(2008.10.19

なんでもマルチメディア(573):ケータイのガラパゴス化

しばらく前から、日本の携帯電話産業のガラパゴス化という言葉が使われるように

なり、テレビや新聞でも取り上げられています。南米大陸から900km離れた太平洋上

のガラパゴス群島で独自の進化をとげてきた固有種動物が絶滅の危機に瀕しているこ

とにたとえて、日本の携帯電話産業が、国際的な市場で北欧や韓国のメーカーに負け

ている原因が、日本国内独自の規格や技術にあると指摘しているのです。

 このような状態が続くと、日本の携帯電話産業は絶滅の危機を迎えるという警告な

のでしょうが、先端技術産業の進歩とガラパゴス諸島の動物の進化は明らかに違いま

す。最近見たテレビ番組の中で、「ヨーロッパではどの国に行っても同じ携帯電話機

を使って通信ができるのに、日本にくると使えないと」いう事例を引用して、ガラパ

ゴス化現象を説明していました。限られた時間のなかでの解説としてはやむを得ない

ことかもしれませんが、この説明は誤解を招く内容です。

 規格が異なる方式の情報通信システム間の相互接続は、100年以上も前からある問

題であり、この問題を解決する基本的な手段として技術の国際標準化が行われてきま

した。初期の国際標準化活動の目標は単一規格の制定でしたが、1990年代以降は複数

の規格の間の相互接続技術が急速に進歩しました。携帯電話のような先端的な技術分

野では、もはやガラパゴス化現象による製品あるいはシステムの絶滅は考えられませ

ん。これからも日本の企業は世界をリードする気概をもって先端的な技術の開発に取

り組むことを期待します。

都丸敬介(2008.10.7

なんでもマルチメディア(572):合成写真

このコラムの569回で合成写真を作るための写真の切り抜きのことを書きました。定年退職後に絵画教室でシニアライフを楽しんでいる人や、デジカメで写真を撮りまくっている人がたくさんいますが、合成写真を作って楽しんでいる人は比較的少ないようです。

 パソコンで合成写真を作るのは難しそうだと思っている人が少なくありませんが、それほど難しいことではありません。パソコンでは合成する個々の素材の大きさや色彩の変更が簡単にでき、素材の組み合わせや配置を手早く自由に変えることができるので、作業の基本がわかると、比較的簡単にいろいろな作品を作ることができます。

 添付した合成写真の「ケシの園」はパリの北西ジヴェルニーにあるクロード・モネの庭園です。ノルウェーの老人が何を話し合っているのか、パソコン教室の受講者の人たちがストーリーを考えてくれています。

 「瞑想」の仏塔は、カトマンズのお寺の境内に雑然とおかれていた寄進物の一つです。高さが1mほどの小さなもので、目立つものではありませんでしたが、これだけを切り抜いたところ立派な姿になりました。曼珠沙華は今月自宅の庭に咲いたものです。


keshinosono.jpg ハンドレッドクラブの皆さんはいろいろな場所で写した写真を持っていることと思います。眠っている写真を素材にして新しい夢を創造することをおすすめします。細かい切り抜きは身体の老化防止に役立つようです。

 

 


meisou.jpg都丸敬介(
2008.9.29