米国の金融破綻をきっかけにして始まった世界的な経済の不安定化が情報通信産業
にも大きな影響をもたらし始めました。20年前に日本でバブル経済がはじけたとき
に、それまで順調に拡大してきたソフトウエア産業で、多くの従事者が職を失いまし
た。このとき目立ったのがCOBOLを使ってプログラムを作っていたソフトウエア技術
者の失職です。
今回は企業情報システムの開発や構築に従事しているシステム・エンジニア(SE)
の職場が大幅に収縮する気配があると指摘されています。
COBOL技術者を中心とするソフトウエア技術者が大量に余ったとき、当時の通商産
業省は情報処理技術者全体の育成計画を見直しました。その結果がどの程度の実を結
んだかという客観的な評価は難しいでしょうが、いつのまにかソフトウエア技術者が
余っているという話はなくなりました。
これからSEが仕事をする場が急速に収縮するならば、身につけた技術を生かせる新
しい職場を探すかあるいは創出しなければなりません。幸いなことに、2 0年前と比
較して情報通信システムの規模が大幅に拡大し、複雑化してきたことを考えると、優
れた技術者が働く場は十分にあるように思えます。ただし、新しい仕事につくために
は組織的な再教育と本人の学習努力が必要です。
私は現役を引退して10年以上たちましたが、今でも企業の技術者育成の手伝いを頼
まれています。そこで感じていることは、実際のシステムを事例にして体系的に解説
することの大切さです。
都丸敬介(2008.10.27)
スポンサーリンク